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【2008年研究発表一覧】
1.日本マイコトキシン学会第63回学術講演会
- [日時と場所]
- 2008年1月11日 国立博物館・新宿分館
- [発表演題]
- −国内で起きるカビ毒汚染 −その実態と防御−
[____]ぶどう園等におけるSection Nigri の分布と分離株の
オクラトキシン産生性
- [発表者]
- 横山耕治1)・川上裕司2)・大橋正孝3)・陰地義樹4)・久米田祐子5)・橋治男6)
[____]1)千葉大学真菌医学研究センター・2)(株)エフシージー総合研究所
[____]3)奈良県生活環境部・4)奈良県保健環境研究センター
[____]5)大阪府公衆衛生研究所・ 6)千葉県衛生研究所
- [要 旨]
- Aspergillus Section Nigri によるオクラトキシン汚染の可能性は、1998年タイ国における保存 green Robusta Coffee豆で示され、この汚染は保存の管理により軽減されることをPeter B.らにより報告されている(1)。その後、2001年ブラジル産コーヒー豆からオクラトキシンA産生菌が分離され、A. ochraseus とA. niger とされた(2)。2004年アルゼンチン市場の干しぶどうの75%でオクラトキシンA(OTA)が検出され、Section Nigri の中の62株(28%)が、また、A. carbonarius の82.6%がOTAを産生したと報告されている(3)。2006年オーストラリアのブドウ製品の調査が報告され、ワインでのOTA検出頻度、汚染レベルも低いと報告された。分離菌の多くはA. niger であるがOTA産生株はほとんどない。A. carbonariusは第一のOTA産生種であると報告している(4)。一方、ヨーロッパの広範囲に及ぶワインのOTA汚染も、A. carbonarius によるものと推定されている。
本邦においては国内で流通する市販食品についての汚染実態調査がなされ(5,6,7)、微量ながら国産ワインからも検出が報告されている(7)。しかしながら、Section Nigri の分布やその分離株のOTA産生性については、これまで報告が全くない。特にぶどう園やワイナリー製造環境における調査は重要と考えられる。そこで、山梨県のぶどう園やワイナリーでのSection Nigri の分布と分離株のオクラトキシン産生性について調査した。
今回の調査で、OTAを産生する A. carbonarius は、ブドウ園土壌、浮遊菌で検出頻度がきわめて低いことが示された。このことは、本邦では果実などの農産物への汚染頻度も低いと考えられる。しかしながら、オクラトキシン産生A. carbonariusが、
本邦においてもワイナリー製造環境を含め現実に存在することは、収穫からその後の品質管理には充分注意が必要であることを示している。
2.日本家屋害虫学会第29回年次大会
- [日時と場所]
- 2008年2月15日 麻布大学
[発表演題1)] タバコシバンムシから分離された病原細菌類
- [発表者]
- 橋本 一浩1),2)・須山祐之3)・川上 裕司1)・中川 淳1),5)・内田 明彦2)・川上 泰2)
[____]古畑 勝則4)
[____]1)(株)エフシージー総合研究所環境科学研究室・2)麻布大学医動物学研究室
[____]3)東京歯科大学衛生学講座・4)麻布大学微生物学研究室
[____]5)日本大学応用昆虫学研究室
[発表演題2)] タバコシバンムシから分離された真菌類の付着率と付着形態
- [発表者]
- 中川 淳1),2)・川上 裕司1)・橋本 一浩1),3)畠山 吉則2)・内田 明彦3)
[____]橋 治男4)・岩野 秀俊2)
[____]1)(株)エフシージー総合研究所環境科学研究室・2)日本大学応用昆虫学研究室
[____]3)麻布大学医動物学研究室・4)千葉県衛生研究所真菌室
3.日本衛生動物学会 第60回記念大会
- [日時と場所]
- 2008年4月17日〜19日 自治医科大学
- [発表演題]
- タバコシバンムシの体表面に付着する真菌類―特にAspergillus との関係について―
- [発表者]
- 川上 裕司1),2)・中川 淳1),2)・橋本 一浩1),3)・岩野 秀俊2)・内田 明彦3)
[____]1)(株)エフシージー総合研究所 環境科学研究室,2)日本大学応用昆虫学研究室,
[____]3)麻布大学医動物学研究室
- [要 旨]
- 演者らは,タバコシバンムシが住環境に極めて普通に生息し,体表面と消化管から病原微生物が分離されることを明らかにした。また,本種から分離された Aspergillus ochraceus は高いochratoxin A産生能を有することも報告している(家屋害虫,1996,1997,1998,2004;衛生動物,2002;マイコトキシン2006)。本大会では,本種の体表面における真菌類胞子の付着率と付着状況について,2006〜2007年に調査した結果について報告する。東京・神奈川・埼玉所在の一般住宅9軒,小学校1校,児童公園5カ所,病院外部1カ所の合計16カ所を調査対象として,ニューセリコ(富士フレーバー社製)を用いて捕獲した。捕獲個体から真菌胞子の付着率を検査し,真菌類の分離・同定を行なった。また,走査形電子顕微鏡を用いて体表面に付着するカビ胞子の付着状況を観察した。更に,本種に人為的にAspergillus胞子を付着させて,24時間後の付着状況を観察した。
真菌の付着率は2006年が70.9%,2007年が78.3%であり,2年間の平均は72.2%であった。真菌類胞子の付着部位は,上唇,大顎,前胸背板,小楯板,前翅,腹部,腿節,脛節であり,ほぼ全身に付着していた。前胸背板と前翅では,胞子が単独で体毛に付着する傾向が認められた。また,前翅の体毛に付着する胞子が「胞子由来の粘着物質」によって固着されており,人為的に Aspergillus胞子を付着させた場合には,24時間後には体毛に胞子が固着されることが観察された。以上の結果から,「本種とカビとの間に何らかの意図的な関係がある」と考える。
4.文化財保存修復学会 第30回記念大会
- [日時と場所]
- 2008年5月16日〜18日 太宰府市中央公民館・九州国立博物館
- [発表演題]
- 美術館におけるカビ汚染の実態調査
- [発表者]
- 川上 裕司1),2)・橋本 一浩1)
[____]1)(株)エフシージー総合研究所 環境科学研究室・2)ランビエンテ保存修復学院
- [要 旨]
- 現在,美術館や博物館の有害生物防除の主流になりつつあるのが,IPMである。演者は,IPMの観点から美術館における害虫やカビの調査を行っている。本大会では静岡県内の美術館におけるカビ発生の実態調査の結果について報告する。
- <調査期間>
- 2007年2月,7月,11月の3回調査を実施。
- <調査場所>
- 展示室,展示室など6箇所。
- <調査法>
- @エアーサンプラーによる浮遊真菌の測定,A滅菌スタンプ瓶による付着真菌の測定,B自動記録式温湿度計による温湿度の測定[調査結果]@浮遊真菌濃度は50〜800CFU/m3と測定月ごとに幅があった。A展示室は7月に浮遊真菌濃度が増加したが,収蔵庫では各月ともほぼ一定濃度であった。B収蔵庫の吸排気ダクトがカビの汚染源となっていた。C浮遊・付着ともにAspergillus, Cladosporium, Penicillium が60〜65%を占めた。D展示室・収蔵庫ともに,温度・湿度が一定に保たれておらず,これがカビ発生の一因であった。E特に,A. versicolor, A. penicillioides が絵画汚染カビであった。
5.日本菌学会 第52回年次大会
- [日時と場所]
- 2008年5月30日〜31日 三重大学 三翠ホール
- [発表演題]
- “室内に潜むマイコトキシン産生菌”の由来−タバコシバンムシの付着菌−
- [発表者]
- 川上 裕司 [____](株)エフシージー総合研究所環境科学研究室
- [要 旨]
- タバコシバンムシ(Lasioderma serricorne)は2〜3mmの微小な広食性甲虫で,多種類の乾燥植物質や乾燥食品を食害することで著名な家屋害虫である。演者は,これまでに本種が人の住環境中に極めて普通に生息することを明らかにし,更に,本種の体表面と消化管からは公衆衛生上有害な真菌と細菌が分離されることを報告してきた(家屋害虫1996,1997,1998,2001,2004;衛生動物2002, 2003,2005,2007,2008;マイコトキシン2006,2007;応動昆2007)。体表面からはマイコトキシン産生菌として知られるAspergillus flavus,A. ochraceusなどが分離されている。本種から分離されたA. ochraceusのochratoxin A 産生能を分析した結果,31株中29株に強い産生能があることが判った。本種がA. ochraceusのcarrierとなることによる,食品のochratoxin汚染の可能性が懸念される。また,走査形電子顕微鏡による採集個体の観察から,本種の前胸背板や前翅の体毛に付着する胞子が「胞子由来の粘着物質」によって固定されていることが明らかになった。 (一部抜粋)
6.室内環境学会 2008年総会
- [日時と場所]
- 2008年12月1日〜2日 タワーホール船橋(江戸川区民ホール)
[発表演題1)] 美術館から採取されたAspergillus 属の比較検討
- [発表者]
- 橋本 一浩1),2)・福田 安住1),3)・川上 裕司1),3)
[____]1)(株)エフシージー総合研究所環境科学研究室・2)麻布大学大学院環境保健学研究科
[____]3)ランビエンテ保存修復学院
[発表演題2)] 特別シンポジウム「アレルギーと室内環境」
[______] 演題6・内装工事の不備によるカビの被害事例とその後の裁判について
[発表者]__リレー発表 @当事者からの報告(西口智子)
[___________] A「カビ発生調査」調査担当者からの報告(川上裕司)
[___________] B担当弁護士からの報告
[__________](宮岡孝之:今村記念法律事務所 所長
[_______________]専修大学法科大学院教授)
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