研究所レポート
食品料理研究室 西村倫子

 産経新聞《安心マークの食べ物さがし》で、福島県矢吹町の「中畑有機農産」の有機栽培トマトを取材し、その原稿を6月2日付け産経新聞に掲載しました。中畑有機農産では、15年前から有機栽培でトマトやレタスなどの野菜を作っています。近年、消費者の健康、安全志向の高まりと共に、関心を集めている「有機栽培」や「無農薬栽培」などの農産物について調べてみました。

食品料理研究室
 スーパーやデパートの野菜売り場には、「有機栽培」や「無農薬栽培」、「無化学肥料栽培」、「減農薬栽培」などの表示のある野菜や果物がたくさん売られています。安心を基準に選ぶ場合、「有機」の方が安心なのですが、「無農薬」や「無化学肥料」の方が農薬や化学肥料を使っていないのだから安心と、誤った評価をしている人が意外に多いようです。

 「有機農産物」などの定義は、農林省の表示ガイドラインで定められています。
 「有機農産物」とは、3年以上化学肥料や農薬を使用せず、堆肥などの有機物を利用した田畑で生産された農産物のこと。

 一方、「無農薬」や「無化学肥料栽培」と表示されているのは、化学合成農薬などを減らしたりして特色のある方法で生産した特別栽培農産物のことを指します。
 つまり、「有機栽培」の野菜や果物には、農薬も化学肥料も使われていませんが、「無農薬栽培」「無化学肥料栽培」とだけ表示されたものには、化学肥料が使われていたり、農薬が使われていることもあるのです。また、「減農薬栽培」とか「減化学肥料栽培」の農薬や化学肥料の使用量もさまざまです。

 こうした分かりにくい表記やあいまいさが問題となって、有機農産物は、2001年より、第三者の認定機関の検査による認定が行われています。認定を受けたものだけが、有機JASマークを貼付し、「有機農産物」として販売出来るようになりました。
 特別栽培農産物も、この5月下旬から化学肥料の使用状況に応じて、「無農薬」、「減農薬」など区分毎の名称を「特別栽培農産物」表示に一本化されることになりました。新しい表示への移行期間は1年間ですが、今後は有機栽培と特別栽培の違いがより明らかになります。

 現在、流通している野菜や果物のはほとんどは慣行栽培のもの。JASマーク付きの有機農産物の量は、国内生産量のは、0.1%ほどといわれています。デパートやスーパーの自然食品コーナーや自然食品の店で買えるのは、ほんの一部の人だけです。有機栽培の生産農家の中にはまじめに有機栽培を続けているのに、有機認証は申請が複雑とか金銭的負担がかかり過ぎるなどの理由で、あえて認証を受けないところもあります。安心でおいしい野菜や果物がほしい人は、こうした農家を探して取り寄せてみるのも一つの方法です。現地を訪ねて確かめてみるのもいいでしょう。

(2003.06.03 食品料理研究室)


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