(42)微小なアレルゲン昆虫~チャタテムシ~ 

 古本を開いた際に現われる淡褐色の微小な虫を見たことはありませんか。体長が1mm前後のため、ダニと間違われることもありますが、この虫はチャタテムシと呼ばれる昆虫です。


 分類学的にはカジリムシ目(咀顎目・そがくもく)に属し、シラミと近縁です。「チャタテムシ」という和名は、江戸時代は既に使われていました。翅をもつスカシチャタテは脚の基節器官に発音器をもち、これを擦って音を出します。障子に止まって鳴くと、その音が障子紙に共鳴して茶せんでお茶をたてた時と同じような「サッサッサッ」という音になることが和名の由来です。チャタテムシが人を刺したり噛んだりすることはありません。また、毒成分を産生することも知られていません。しかしながら、近年、住宅に極めて普通に生息するヒラタチャタテが新たなアレルゲンであることが明らかになりました。アトピー型喘息患者の20%前後がヒラタチャタテに感作することが解かっています。本棚に並べた書籍類の天に貯留したハウスダストの中には耐乾性のコウジカビの胞子や菌糸が含まれており、この昆虫の餌になります。また、キッチンの小麦粉、乾麺、鰹節などの保存食品にも発生します。事実、ソウメンチャタテやカツブシチャタテという和名がついたヒラタチャタテの近縁種がいます。小麦粉製品を製造する食品工場で大発生して、食品の混入異物として見つかることもあり、食品工場では要注意の害虫です。また、カビが発生しやすい空調ダクトの内部などでも大量発生し、様々な公共施設でも問題になることがあります。



 25〜27℃、湿度75%前後の環境下では、卵は10日前後で孵化し、孵化した幼虫は脱皮を繰り返して、10〜14日で成虫になります。羽化した成虫は1〜4日後には産卵を開始し、1日に1〜2個、およそ5ヵ月の寿命中で100個以上の卵を産卵します。ですから、好適な環境下では大繁殖することもあります。
 チャタテムシの繁殖を防ぐためにはカビを発生させないように心掛けることが一番効果的です。カビの胞子が沢山含まれるハウスダストを貯留させないようにしましょう。押入れやクローゼットにダンボールを敷いている方がいますが、湿気を帯びてカビが生えやすく、潜り込める隙間があるのでチャタテムシの格好の住処になりますので、お勧めできません。ダニ・カビ・ハウスダストにアレルギー症状が出る方は、特に要注意です。


 ダニが発生しやすい環境には、カビも生えやすく、また、カビを食べるチャタテムシも二次的に発生することを覚えておきましょう。
 寝室のベッドの下、ソファー下、押入れの中など発生源になりがちです。週に1回は掃除をして、ハウスダストを溜めないことが大切です。


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(2017.03.13更新 エフシージー総合研究所 環境科学研究室)



産経新聞掲載記事『微に入り細に入り』

次回の更新は3月31日(金)を予定しています。

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