(8)柔軟剤の働きと効果

 洗濯物の肌触りを良くする柔軟剤。最近では衣類への香りつけに使われることも多いようで、柔軟剤の効果的な使い方が気になるところです。第8回は“柔軟剤の働き”について科学的な視点から考えたいと思います。

●界面活性剤には種類がある
 洗剤の多くは界面活性剤が主成分で、水になじみやすい性質(親水基)と油になじみやすい性質(親油基)をあわせもちます。さらに、界面活性剤は親水基の性質によって分類され、用途に応じて配合されるものが違います。例えば洗剤で油汚れや泥汚れが落ちる現象。これは界面活性剤の代表的な作用の一つ、乳化・分散作用(汚れを包み、水中に混ざりやすくして落とす)が関係していますが、この作用には親水基がマイナスの電気的性質をもつ陰イオン界面活性剤が優れた効果を発揮します。そのため、台所用や洗濯用などの洗剤のほか、食品や化粧品の乳化剤にも使われています。

図1 界面活性剤の種類

 一方、親水基がプラスを帯びた陽イオン界面活性剤は、陰イオン界面活性剤と違い乳化・分散作用に乏しく、洗浄効果は低いです。しかし、繊維の表面に吸着することで柔軟性を高めたり、静電気を防止する特徴があり、こちらは衣類用の柔軟剤やヘアコンディショナーに使われます。プラスを帯びた親水基が繊維表面に吸着し、さらに油になじみやすい性質の新油基が繊維を覆うことで表面が油膜で保護された状態となり、摩擦抵抗が減少します。そのため、繊維同士のすべりが良くなり、布全体がふんわり仕上がるだけでなく、繊維同士の摩擦が減り帯電防止にもつながります。


図2 繊維表面と柔軟剤の様子


●洗剤と柔軟剤は一緒に入れない

  洗剤と柔軟剤に使われる界面活性剤はそれぞれマイナスとプラスの電気的性質をもつので洗濯の際、一緒に入れるとお互いの効果が薄れてしまいます。そのため柔軟剤は、洗剤で汚れを落とし、1回目のすすぎで洗剤成分を落とした後、2回目のすすぎ時に投入されます。洗濯コースをすすぎ1回に設定した場合は、洗剤成分が残留しているため、柔軟剤の効果は薄まることになります。最近では柔軟剤入りの洗剤も販売されていますが、このような洗剤に含まれる柔軟剤は陽イオン界面活性剤ではありません。一般的な柔軟剤とは違い、洗浄と柔軟の両方の効果が得られるように設計されています。柔軟剤入り洗剤に柔軟剤を加える場合は、必ず自動投入口に入れ、2回目のすすぎ時に投入されるようでないと効果が高まりませんので、気をつけましょう。

図3 界面活性剤の性質


●柔軟剤は多く入れすぎても逆効果

 各洗剤メーカーでは柔軟剤の機能が最大限に引き出せるよう製品ごとに使用量を設定しています。これは陽イオン界面活性剤の繊維への吸着量が一定量を超えると柔軟性はあまり変わらないためです。過剰に入れることで水をはじいて繊維の吸水性が落ちたり、ぬめり感が出すぎる逆効果にもつながります。

仕上がりの柔らかさが不快に感じるようであれば、使い方を見直してみるとよいでしょう。

図4  柔軟剤の過剰使用の様子

 

(2017.07.28)

生活科学研究室