(5)洗剤濃度と洗浄効果

蒸し暑い日が続いていますね。洗濯物を清潔に保つためにも、より効果的に洗剤を使いたいところです。汚れが目立つと洗剤をつい多めに入れてしまう方もいるかと思います。では、洗剤量に比例して汚れ落ちは良くなるのでしょうか? 第5回は“洗剤濃度と汚れ落ち”についてのお話しです。

●界面活性剤の集合体 「ミセル」
 洗濯用や台所用洗剤など家庭用洗剤の主成分は界面活性剤です。界面活性剤は水になじみやすい性質(親水基)と油になじみやすい性質(親油基)をあわせもち、ある一定以上の濃度になると分子同士が集まります。この集合体をミセルといいます。ミセルは汚れを取り込み除去する働きがあり、洗浄効果に大きく影響します(図1)。


図1 界面活性剤の構造とミセル


●界面活性剤がミセルを作るために必要な濃度 「臨界ミセル濃度(CMC)」
 界面活性剤がミセルを形成するためには、ある一定以上の濃度が必要です。これを臨界ミセル濃度(CMC)といいます。臨界ミセル濃度に達すると洗浄力が最大限になり、逆に濃度があまりにも低すぎると洗浄力は落ちてしまいます(図2)。また、界面活性剤には表面を濡れやすくして汚れを剥がしやすくする浸透作用と呼ばれる働きもあり、臨界ミセル濃度に達することで高い効果が得られます。そのため、各洗剤メーカーでは洗剤の機能が最大限に引き出せるよう製品ごとの使用量を設定しています。

図2  石けんと金属イオンの反応


●洗剤の入れすぎは逆効果
臨界ミセル濃度に達すると界面活性剤による効果は上がります。ですが、界面活性剤の濃度が高いほど良いというわけではありません。汚れの度合いや洗濯量により多少の差はありますが、むしろ洗剤を入れ過ぎることですすぎ回数が増えたり、衣類への洗剤残留がみられたりする逆効果も懸念されます。汚れが目立つ場合は部分洗いなどの前洗いをしてから洗濯する、洗濯時間を長くするといった物理的な力を加える工夫も必要です。

汚れを効果的に落とし、洗濯物を清潔に保つためにもメーカーごとの適量を守って正しく使うことをおすすめします。

 

(2017.06.16)

生活科学研究室