(12)新しい洗濯表示と取り扱いについて

 衣類などの繊維製品に必ず付いている洗濯表示。昨年の12月から新しい表示に変わりました。具体的に何が変わり、どのように運用されているのでしょうか? 第12回は“新しい洗濯表示と取り組み”をみていきたいと思います。

●なぜ表示が変わったのか。ISO規格とJIS規格の整合性
 「ISO規格」という言葉を聞いたことはあるでしょうか? 国際間での基準となるもので、ISO(国際標準化機構)と呼ばれる国際機関により審議されています。これに対し「JIS規格」とは、JISC(日本工業標準調査会)という機関による日本独自の規格のこと。電化製品など身近なものの多くが規定されており、洗濯表示もその一つです。従来の洗濯表示では、日本の洗濯様式に合わせた規格「JIS L 0217」を採用していました。しかし、海外では日本と異なる洗濯表示を採用しているため、国際間でズレが生じていました。そこでこのズレを解消するべく、共通して認識できる新表示「JIS L 0001」へ改訂が図られたわけです。

図1 新しい洗濯表示(JIS L 0001)による記号の共通化へ


●新しい洗濯表示「JIS L 0001」と主な変更点

  新しい表示では、記号の種類が22種類から41種類に増え、より細かい取り扱いが規定されています。従来と大きく違うのは次の四点で、一つ目はこれまでの適切な処理方法を示す「指示表示」から、回復できない損傷を起こさない処理の「上限表示」へ変わったこと。この変更により、洗濯処理や自然乾燥の記号では、以前よりも温度や洗濯機の機械力の強さ、干す条件などが細かく規定されました。二つ目は、酸素系漂白剤の可否の追加。三つ目は商業クリーニングでのウエットクリーニング(ソフトな水洗い洗浄)やタンブル乾燥(乾燥機の中で洗濯物を回転させながら温風により乾燥させる)記号の追加。そして四つ目が、表示の適用範囲が家庭洗濯だけでなく、商業洗濯も対象としている点であり、利便性向上が期待されています。

図2


●洗濯表示の内容はどのようにして決められているのか?
 JIS規格では、記号の意味や試験方法は規定していますが、商品にどの記号を表示するかは、販売元に委ねられています。そのため、アパレルメーカー各社は、自社商品に対し、根拠をもって表示する必要があり、消費者が誤認しないような配慮が求められます。近年では、アパレル・ファッション産業協会によるISO移行に伴う“表示責任者のための取扱い表示記号作成ガイドライン”が作成され、現場の混乱を防ぐ試みも行われています。


●洗う前に表示をよく確認

 一方で、新旧表示が混在していたり、家庭洗濯不可であるのに自然乾燥が表示されているといった誤表示の事例も報告されています。取り扱い絵表示が意味する内容が異なるため、慣れるまでは都度、表示をよく確認することが必要です。

図3 誤表示の事例

新しい表示が正しく運用されるためには、いまだ課題も多いのが現状です。そのため、販売側だけでなく、消費者側も表示の意味を正しく理解することが大切です。

※この号で新人レポートは終了とさせていただきます。
(2017.09.29)

生活科学研究室