フジテレビ商品研究所

商品研究レポート

充電手回しラジオ 

手回ししやすいものを選ぶ



 近年、各地で自然災害が頻発しており、防災意識への高まりから市場でさまざまな防災グッズを目にします。電源が無い状況でも情報を収集することができる“手回し充電ラジオ”は、収納されているハンドルを引き出して回すことで発電し、内蔵の畜電池などに充電される商品です。ラジオを聞く以外にも、懐中電灯として使えたり、携帯電話などの充電ができたりと、機種によりいろいろな用途があり、大手家電メーカー品以外にも廉価なものが発売され、選ぶ際には迷ってしまいます。そこで、同じ手回し回数でのラジオの作動時間とハンドルの回しやすさ、スマホ充電機能について調べてみました。


テスト品

 テスト品は、表1に示す4機種です。どの機種もラジオの他にライト、携帯電話などへの充電機能があり、A、B、Cはスマホへの手回し充電も可能です。また、屋外での使用を想定した「防塵」「防水」機能を備えたタイプも販売されていますが、テスト品のうちAだけはその両方の機能がありました。


表1:テスト品一覧






テスト項目

1)1分間の手回しによるラジオの作動時間
 4機種のボリュームを騒音計で同じ音量になるように調節し、充電を空の状態にしておきます。ハンドルを120回転(1秒間に2回転のスピードで1分間回す)させた後、4機種同時に電源を入れて同じ放送局のラジオ放送を受信させ、電源が切れるまでの時間を計測しました。



2)指への負担(手回しのしやすさ)
 ハンドルを回す指にどれくらいの負荷がかかっているか、感覚を数値化するセンサー(HapLog/テック技販)を親指に取り付け、1秒間に2回転のスピードでハンドルを回し、手回しが安定したときの最大値を測定しました。測定は研究員1名が行い、右手でハンドルを回す場合と左手で回す場合をそれぞれ3回ずつ測定し、平均値を算出しました。数値が小さいほど、指にかかる負荷は少ないという目安になります。



3)3分間手回しによるスマホ充電
 スマートフォンに手回しで充電ができるA、B、Cについて、充電残量が20%になったスマホに繋ぎ、3分間の手回しで充電残量がどれくらい回復するかを確認しました。





試験結果

1)1分間の手回しによるラジオの作動時間
 最も長く作動したのはBで、AM、FM共に1時間以上の作動が確認できました(図1)。Aも、AMが約50分、FMは約45分と、非常時の情報収集には十分な作動時間だと思われます。一方、DはFMを1分54秒しか聞くことができず、同じ手回し時間でも作動時間に大きな違いがあることが分かりました。


図1:1分間の手回しによるラジオ作動時間



 なお、ラジオの作動時間の計測結果は、カタログに表記されたものと大きな差異はなかったので、この点は事前にカタログで確認しておけばいいでしょう。


【AMとFM】
 FMは、県単位あるいは、地域のミニFM局から局ごとに送信されて放送されています。そのため、震災などによってその地域の回線や電気がストップすると、どの局も聞けなくなってしまうことがあります。
 一方、AMは放送局ごとに離れた場所にアンテナが設置されているので、1局が被災しても別の局が聞ける可能性が高く、災害に強いとされています。また、FMの電波は昼夜を通して遠くまで届きませんが、AMの電波は夜間に限っては他県の大都市にある出力の大きな放送局であれば受信できる場合があります。東京では名古屋、大阪、福岡、札幌などが聴けるので、関東一円の放送局が被災しても、AM放送は聴ける可能性が高いです




2)指への負担(手回しのしやすさ)
 右手、左手どちらで手回しする場合でも、負荷が少ない順に、A ▷ C ▷ B ▷Dでした(表2)。Aはハンドルが握りやすく、本体もつかみやすいことから、数値以上の手回しやすさを実感しました。CはAに次いで負荷が小さい結果でしたが、本体を握ったときに電源ボタンに指がかかり、不用意にラジオが鳴ってしまうことがありました。


表2 手回し時に親指にかかる負荷・3回平均



 図2は、回し始めから10秒間の親指にかかる負荷を波形で表したものです。いずれも右手で回したときの波形を比較しました。A、Cは波形が等間隔になっており、スムーズかつ、リズミカルに少ない負荷で手回しできている一方、B、Dの波形には若干の乱れが見られます。Bは手回し中にハンドルが本体に収納されそうになったり、Dはハンドルの持ち手がつまみにくかったりして一定のリズムでの手回しができず、手回しの安定感は今ひとつでした。
 ラジオをなるべく長く聴き続けられるよう、少しでも多く充電しておきたいところですが、手回しは2~3分もすると疲れてきます。そのため、指への負荷が少なく、スムーズに回せることは重要なポイントです。通販のカタログチェックだけで安易に買わず、店頭で手に取り手回しの際の力や操作性などを確認して機種を選ぶことが大切です。


図2 手回し時に親指にかかる負荷の波形




3)3分間手回しによるスマホ充電
 手回し充電を3分間行ったスマホの充電量は、どの機種も1%でした(表3)。ただし、Bは本体が大きいため、本体をつかんでいる左手が痛くなり、またCは充電を開始するとハンドルの回転が重くなり、手回し作業自体が体力的にかなり困難でした。3機種ともスマホへの充電量は微々たるものですが、災害時に安否確認ができる伝言板や音声サービスを利用することも想定されます。ある程度の充電量が必要になった際は、スムーズに手回しできるAが役に立ちそうです。
なお、3機種のうちBだけは乾電池からの充電が可能で、単3電池2個で12%の充電ができました。複数の電池を都度取り替えることができれば充電器としての効果を発揮します。非常用持ち出し袋にいくつかの乾電池とセットで入れておくと頼りになるでしょう。


3分間の手回しによるスマホへの充電量




まとめ

 Aは、1回の手回しで長くラジオが聴けるのに加え、手回しのしやすさからもおススメです。Bは唯一、乾電池からのスマホ充電ができるので、いざというときに便利です。今回のテストでは高評価とはならなかったDですが、軽量・コンパクトで持ち運びやすく、安価な点では選ぶ価値はあります。
 手回し充電ラジオはラジオを聴くだけでなく、停電してしまった非常時にも役に立ちます。災害への備えに常備してはいかがでしょうか。


(2016.11.25 生活科学研究室)

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