フジテレビ商品研究所

商品研究レポート

トースター



トースター



 トースターというと、昔は食パンをトーストするだけのポップアップ式のものでしたが、今ではオーブン型が主流となっています。食パンだけでなくフランスパンや調理パンなども焼くことができ、グラタンなどのちょっとした焼き物料理にも使えて、自宅で手軽に焼きたての美味しさを楽しむことができます。最近では、マイコンを搭載し、スイッチひとつで様々な加熱調理もでき、焼き色の濃さまで調節できる製品のほか、上下異なる種類のヒーターを組み合わせたり、庫内に蒸気を発生させたりするなどの工夫を凝らした製品が売られています。価格も数千円から数万円まで様々です。そこで、基本となるトーストの焼き上がり具合について、焼きムラ、歯ごたえ(切断時最大荷重)、しっとり感(水分蒸発率)をタイプの異なるトースター4点で比較してみました。あわせて、トーストの官能評価も行いました。



試験品

 試験は、石英管ヒーター(A)、異なる種類のヒーター組み合わせ(B、C)、蒸気発生(D)の4種類(表参照)を選びました。B、C、Dはマイコン制御で庫内の温度を自動でコントロールすることができます。



表1:試験品一覧





試験に使用した食パン

 一般的なスーパー等の店頭で販売されている廉価な食パンとして、マルエツのPB(第一パン)・「麦ゆたか」6枚切りを使用。

試験に使用した食パン





加熱条件

 トースターによって焼き加減のモード設定が異なるため、ほぼ同様の焼き色に仕上がる加熱時間とモードを予備試験により決定し、下記の加熱条件で試験を行いました。


表2:加熱条件






試験項目

1. 焼きムラ
 食パンを「2枚トースト」の加熱条件で焼き、トーストのおもて・うら両面の状態を写真撮影し、観察しました。おもて面の画像はPhotoshopで解析して標準偏差を算出し、数値が小さいほど焼きムラが少ないと判断しました。うら面は焼き網の影響が考えられるため、標準偏差の算出はせず目視による評価を行いました。

2. 歯ごたえ(切断時最大荷重)
 トーストを噛んだ時の歯触りを、引張試験機を使用して評価しました。「1枚トースト」の加熱条件で焼いたトーストの中央を圧縮方向に一定速度(10㎜/min)で押した際の最大荷重(N:ニュートン)を測定しました。歯を想定した三角形の切断刃(プラスチック製)を使用。数値が大きいほど表面が固い焼き上がりになると判断し、歯ごたえがあるという評価になります。1機種につき7回の測定を実施し、そのうち最小値と最大値を除いた5回の平均値を結果データとしました。

3. しっとり感(水分蒸発率)
 事前に重量測定した食パンを「1枚トースト」の加熱条件で焼き、取り出した直後の重量を測定しました。加熱前後の重量から水分蒸発率を算出し、蒸発率が少ないものほどしっとりとした焼き上がりになると判断しました。

4. 官能評価
 8名のパネラーでアンケート形式による官能評価を実施しました。2名ずつ、1機種ごとに食べて、各項目について5段階で回答しました。トーストは2枚同時に焼いて1回につき、各1枚をパネラーに出しました。パネラーにはどの機種でトーストしたかを分からないようにトーストする部屋と評価する部屋を分け、トースト終了等の音も聞こえないようにし、盲検性を担保しました。





結  果

1. 焼きムラ
 おもて面については、標準偏差の数値が小さいほど焼きムラが少なく、均一に焼けているという評価になります。標準偏差の数値からAが最も焼きムラが少なく、B、C、Dの順になりました。Aは庫内が狭いため均一に温まりやすく、またヒーターとパンの距離が近いためムラが出にくかったと思われます。
 うら面は、焼き網の形状が大きく影響し、B以外の機種は焼き網の跡がかなり目立ちました。おもて面よりも濃く焼けている箇所や焼けていない箇所が多く見られました。Bの焼き網は非常に細かな網目になっているので、ヒーターによる多少の焼きムラはあるものの、焼き網の影響は受けずに両面を同じような焼き上がりに仕上げることができるという特徴がありました。



表3・表4:トーストの焼き上がり





2. 歯ごたえ(切断時最大荷重)
 最大荷重は大きい順にA、B、C、Dとなりました。Aは庫内容積が狭く、ヒーター距離が近いことから、短時間でもパン表面がしっかり焼けるため固くなったと思われます。DはAに次いで庫内容積が狭く、加熱時間も長いのですが、庫内に発生した蒸気がパン自体の水分蒸発を抑え、段階的に温度が上昇するように制御されているため、焼き色が付き始めるのは終了間際で、表面のごく薄い層が焼けるだけなので、他の機種に比べて固くならなかったと考えます。



図1:切断時最大荷重




3. しっとり感(水分蒸発率)
 Dは加熱時間が一番長いにもかかわらず最も水分蒸発率が低く、A、B、Cの順に高くなりました。Dは庫内に蒸気が発生することにより、パン自体の水分蒸発を抑えることができたと考えます。Cは上下段、Bは上段の赤外線ヒーターが、パンを芯から温めることで水分が多く蒸発したものと思われます。


図2:水分蒸発率




4. 官能評価
 「焼き色」はBが最も評価が高く、D、A、Cの順でした。「表面のサクッと感」の強さはDが最も評価が高く、B、C、Aの順でした。「中心のしっとり感」はAが最も評価が高く、B、C、Dの順でした。
 「焼き色」については、両面が変わりなく焼けているBがムラなく焼けていると認識されて、評価が高くなったのではないかと考えます。「表面のサクッと感」は、軽い歯触りがサクッとした食感と認識され、Dの評価が高くなったのではないかと思われます。「中心のしっとり感」については、「表面のサクッと感の強さ」とほぼ反比例した評価となっていることから、しっとり感は最初に噛んだ歯触りが影響してくるのではないかと思われました。今回の試験では6枚切りを使用しましたが、パンの厚みが4枚切りなどの厚い場合には、表面の焼けた層よりも内側の焼けていない層が厚くなるので、水分蒸発率が少ないDのしっとり感を認識することができた可能性もあると考えます。


図3:官能評価




まとめ

 試験結果をまとめ、一覧表(表7)に示します。


表5:試験結果一覧


  今回の試験結果から、トースターの機種によりトーストの焼き上がりに違いがみられました。庫内が狭く、ヒーターとの距離が近いものほどムラなくしっかりと表面を焼くことはできますが、網の形状によって、接している面は焼きムラが目立つ機種もあります。赤外線ヒーターの機種は芯から温めることができる半面、水分が蒸発しやすいこともあるので、加熱時間に注意が必要です。蒸気が発生する機種はパン自体の水分蒸発を抑えることができるので、サクッとした軽い歯触りに焼くことができます。
 トーストの食感については、パン表面の歯触りが中心のしっとり感に影響することも考えられるので、食パンの厚みや焼き加減に注意しながら自分の好みに合わせて焼くとよいでしょう。
 パンだけでなく様々な加熱調理も手軽にできるようになっていますので、自分のライフスタイルにあったトースターを選んでみてはいかがでしょうか。

(2016.05.17 生活科学研究室)

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