フジテレビ商品研究所

商品研究レポート

海外製の低価格乾電池の性能



低価格電池

 充電できる電気製品が増えたとはいえ、時計、リモコン、デジカメ、玩具など身近には乾電池を使うものが少なくありません。乾電池を購入する際に気になるのが、「持ち」や「パワー」といった性能です。電車玩具で例えるなら「持ち」とは、電車がどれだけ長い時間動くか、「パワー」は、動いているときにどれだけ電車のスピードが出るかということです。
 店頭で目にする乾電池は、大手電機メーカーブランドの他に、100円ショップやホームセンターブランドなど種類が豊富で価格にも幅があり、どれを選べばいいのか迷ってしまいます。玉石混淆といったことはないのでしょうか。そこで、家庭で使う機会が多い単三形アルカリ乾電池の性能について検証してみました。

試験品

 試験は、以下の価格帯や製造国の異なる乾電池について調べました。



表1:乾電池一覧



試験項目

1. ダミー抵抗による放電特性
 乾電池はモーター、ヒーター、デジタル機器など、使用する製品によって特性が微妙に違ってきます。LEDライトや玩具などの電池寿命が4時間程度と表記されていることから、事前試験で選定した2.2Ωの抵抗を接続して電池電圧を連続測定し、電圧の低下傾向を比較しました。



2.実負荷による「パワー(スピード)」性能
 電気製品の中でも、純粋な抵抗負荷の製品は懐中電灯くらいで、あまり多くありません。
単三形の用途としては、玩具やシェーバーなどモーターを使った製品も多く、このような製品は低価格の直流モーターに電池を直接接続する構造となっています。直流モーターは電池電圧が低下してモーターの回転が遅くなるにつれて、より多くの電流を流そうとする特性があります。そのため、懐中電灯などの単純な抵抗よりも電池電圧が下がり始めると急激に電池がなくなることが予想されます。そこで、直流モーターが使われている電車玩具を使用して試験を行い、実際の製品で使った場合にどのような「パワー」性能なのかを調べました。
 試験は、単三形1本で動く電車玩具に500g荷重(試験1.ダミー抵抗による放電特性と同程度の負荷にするため荷重を使用)を載せて牽引しながら周回レールを30分間連続走行させた後、周回レール5周のラップタイムを計りました。試験1の結果から、日本製品1点と販売元の異なる海外製(東アジア、東南アジア製)の低価格品4点を選び、ラップタイムを比較しました。

写真1:実験風景



3. 実負荷による「持ち(寿命)」性能
 実際の製品に使った場合にどの程度の「持ち」性能なのか、試験2と同様の500g荷重を牽引した電車玩具を使用し、周回レールを連続走行させ、停止するまでの走行時間を計りました。





試験に使用した電車玩具

 個体差を考慮し、以下のような選別方法、条件で試験を行いました。 選別には、試験品とは異なる乾電池1種類を使用しました。

● 試験2.実負荷による「パワー(スピード)」性能
新品の乾電池を電車にセットして周回レールを走行させ、2周目以降の5周のラップタイムを計り、ラップタイムが近い電車を6台選別しました。
試験は、各電車に各乾電池をセットして周回レールを30分間連続走行させた後、別の電車1台を使用して、各乾電池の5周のラップタイムを計りました。

● 試験3.実負荷による「持ち(寿命)」性能
選別は、試験2と同様の方法で、ラップタイムの近い電車を6台選びました。
試験は、乾電池を電車にセットして停止するまでの走行時間を計りました。乾電池1種類につき3回(各回電車を替えて)計測を行いました。





結 果

1. ダミー抵抗による放電特性
 測定の結果を図1に示します。


図1:放電特性



 試験開始から30分時点での電圧を比較したところ、海外製の低価格品に比べ、日本製品の電圧のほうが全般的にパワーを保持した高めの値となりました。ただし、中には差が僅かな製品もあり、海外製の低価格品も日本製品に肉薄する性能になってきているようです。





2. 実負荷による「パワー(スピード)」性能
 測定の結果を図2に示します。


図2:パワー性能



 ラップタイムは、A(日本製品)が最も早く、J、P、M、Gの順でした。実使用においても、今回試験した日本製品については、海外製の低価格品よりもパワフルと言えそうです。





3. 実負荷による「持ち(寿命)」性能
 測測定の結果を表2 に示します。


表2:走行時間そのバラツキ


 走行時間は、Gが最も長く、P、A(日本製品)、M、Jの順となりました。Aにくらべ、M、Jの走行時間は2〜40分短くなったものの、G、Pの走行時間はAよりも10分以上長くなっていることから、海外製の低価格品の寿命が日本製品にくらべ明らかに悪くなるということはありませんでした。
 走行時間のバラつきは、Aが最も少なく、G、J、M、Pの順となりました。G、Jについては、Aとの差が僅かで、日本製品と遜色はありませんでした。しかしながら、M、PはAにくらべ、バラつきが倍以上となりました。一定の性能を保持する品質管理といった面では、海外製の低価格品の中には劣る製品も含まれていることがあると考えます。





まとめ

 試験結果をまとめ、一覧表(表3)に示しました。


表3:試験結果一覧


 今回の試験結果から、パワーの面では日本製品にやや劣るものの、海外製の低価格品の持ちが明らかに悪くなるということはありませんでした。電池は負荷が異なると性能が変わる可能性があるため一概に差がないとは言えませんが、4時間程度で使い切るケースなら海外製の低価格品でもそれほど遜色はなさそうです。
 ただ、電池の性能には安全性や保存性といった品質も重要な要素です。日本製品には「使用推奨期限10年」、「液漏れ防止効果又は製法」と表示されたものが多い一方で、海外製の低価格品は長くても7年、通常は5年で、液漏れ防止の表記はほとんど見当たりませんでした。電池の液漏れを放置すると電極や電子部品を腐食させて機器を壊す原因になります。カメラやラジオなどのデジタル機器は、電池電圧が下がると自動的に動作を止めるので過放電が起こりにくいのですが、懐中電灯や玩具など単純な機器は、スイッチを切り忘れると電池の限界以上に電流が流れ続けるため、海外製の低価格品では液漏れを起こす可能性が高くなります。また、海外製の低価格品の中には外装フィルムに傷や凹みがあるものもあり、不安が残りました。
 災害など非常時には重要な電源としても欠かせない電池。肝心な時に液漏れや電池切れで使えないといったことがないよう、日常用と長期保存や防災機器に使用するもので日本製品と海外製の低価格品を賢く使い分けましょう。ただし、懐中電灯や玩具は使い終わったら必ずスイッチを切るのを忘れずにしてください。

(2016.04.05 生活科学研究室)

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