フジテレビ商品研究所

今までの研究レポート

昆布だしのとり方が変わった!?

昆布だしのとり方が変わった!?

従来の方法と60℃長時間抽出を比較

 多くの家庭向けの料理本には、「昆布だしをとるときは、昆布を水にしばらく浸けておき、火にかけて小さな泡が出始めたら取り出します」と書かれています。家庭科の授業で、そのように教わった記憶がある方もいるでしょう。
 ところが、最近は、60℃で1時間抽出すると旨味が最大限に引き出されるという大学などの研究から、その方法を実践する日本料理店も多いようです。抽出方法によって、昆布だしの味がどのように異なるのか、調べてみました。

日高昆布と真昆布を使用

 昆布には真昆布、利尻昆布、羅臼昆布、日高昆布などがあり、主に関東以北は日高昆布、大阪を中心とする関西では真昆布が好まれると言われています。そこで、家庭で手軽に使える価格帯の日高昆布と真昆布を選び、昆布だしをとりました。スーパーでの購入価格は、カットタイプの日高昆布が600円(100g当たり、以下同)、カットタイプの真昆布が570円でした。また、昆布は厚みや幅などで等級が決まりますが、比較として「一等品」と表示のある1460円の日高昆布、1630円の真昆布も加えました。

昆布だしのとり方4通りを試験

 だしのとり方は、大きく分けて「水だし」「60℃だし」「80℃だし」「80℃+放置だし」の4通りとしました(表1)。
 昆布の使用量は、硬度約30mg/Lのミネラルウオーター(以下水)1Lに対して30g。水だしとその他のだしの水戻しは、ジッパー付きポリ袋に入れ、昆布が水から出ないように配慮しました。60℃だしについては、ガスコンロの最弱火でも1時間の加熱を続けると60℃以上になってしまうため、60℃の恒温槽に入れました。80℃だしは従来の昆布だしのとり方です。昆布を取り出すタイミングは「鍋の壁に小さな気泡がついたら」(写真)の段階で湯温を計測して80℃前後であることを確認し、条件を決定しました。

表1:昆布だしのとり方


昆布を取り出すタイミングは「鍋の壁に小さな気泡がついたら」


従来法よりも60℃だしは濃い

 昆布だしの代表的な旨味成分はグルタミン酸です。各抽出方法を3回ずつ繰り返して試料とし、遊離グルタミン酸量を測定して、その結果を図1と2にまとめました。分析は(一財)日本食品分析センターに委託しました。
 カットタイプの日高昆布のだしを比較すると、60℃だしの遊離グルタミン酸量がもっとも多く、従来法の80℃だしの約1.3倍でした。真昆布は日高昆布に比べ、どの抽出方法でも遊離グルタミン酸量が少なかったのですが、その中では水だし10時間がもっとも多くなりました。
 比較として一等品の80℃だしについても測定しましたが、日高昆布、真昆布ともに安価なカット昆布よりも遊離グルタミン酸量の多いだしをとることができました。

図1:日高昆布だし汁中の遊離グルタミン酸/図2:真昆布だし汁中の遊離グルタミン酸

表-2 だし汁の特徴

まとめ

 昆布だしを調味せずに飲むことはなく、かつお節などとの合わせだしにしたり、食材を加えたりすることで相乗効果が生まれ、より美味しさを感じるものです。また、昆布だしの味は遊離グルタミン酸だけでなく他のアミノ酸やミネラル、香りの影響も受けますが、遊離グルタミン酸量、味、手間などを考慮して昆布だしの上手なとり方をまとめます。

● 水だしにするならば、昆布は長く置き過ぎない方がよい
●60℃だしは旨味が濃いが、家庭では温度コントロールが困難
● 従来法の80℃だしは短時間で調理でき、十分に美味しい
● 湯豆腐などの鍋料理では、昆布は入れたままにせず、取り出した方がよい
● 等級が高い昆布のだしは旨味成分が多く、吸い物などにお勧め


 昆布の種類や等級、だしのとり方を変えて、いつもの味をグレードアップしてみてはいかがでしょうか。

昆布だしのとり方が変わった!?/pdfレポートをダウンロードする

(2017.06.19 食品料理研究室)

▲PageTop