フジテレビ商品研究所

今までの研究レポート

“揚げない”から揚げを本物と比較

“揚げない”から揚げを
本物と比較

ヘルシーなうえに調理がラク、というイメージがある“揚げない”揚げ物。4種の調理器具を使って鶏肉のから揚げを作り、本物と比較してみた。

研究目的

揚げ物は大好き。手作りはおいしいけれど、何かと面倒だから買って食べる。それにしても、油のとり過ぎは気になるところ―。
そんな揺れる心をわしづかみにした商品が話題を呼んでいる。今年4月に発売された『ノンフライヤー』(フィリップス社製)に代表される、油を使わない電気フライヤー(以下フライヤー)だ。
高温の熱風を循環させて加熱する、このミニオーブンの“揚がり”具合を、ほかの加熱調理器具も交え、本物の鶏肉のから揚げと比べてみた。

揚げない器具4種を比較

使用した加熱調理器具はフライヤーのほか、ガスコンロの魚焼きグリル・両面タイプ(東京ガス製、以下グリル)、オーブントースター(ナショナル製、以下トースター)、過熱水蒸気で調理するスチームオーブンレンジ(日立製、以下レンジ)の計4種である。

オリジナルレシピで調理

鶏肉のから揚げは、年齢や性別を問わず人気が高い揚げ物。フライヤーとレンジに付属のレシピ集にも、作り方が紹介されている。
その推奨レシピでは、下味をつけた鶏肉に小麦粉か片栗粉をまぶして加熱するように指定されていた。作ってみると、加熱しても粉のまま残る部分があり(写真1)、食べると粉っぽさも感じた。

推奨レシピ

そこで、肉に下味をつけた後、熱を伝えやすくするために油をからめ、下味の水分を吸いきり、かつ粉っぽさが残らない量の片栗粉をなじませることにした(表1)。

オリジナルレシピ

加熱の際は、フライヤーもレンジも付属の網に鶏肉を直にのせるように指定されているが、網に著しく焦げつき(写真2)、分析試料として相応しくないため、オーブンペーパーを敷いて加熱した。
また、下味をつけただけの鶏肉をグリルで焼き、参考試料とした。

焦げ付いた網

油で揚げても脂質は減少

表2に、各加熱条件と調理後の変化、コストをまとめた。でき上がり状態は、写真3の通り。

調理結果

オリジナルレシピで作ったから揚げ

各調理方法で3回ずつ調理してサンプルを作成し、分析機関で水分量と脂質量を測定したところ、パサつき感の目安となる水分の減少率が最も高かったのはレンジ品、最低がトースター品だった。
最も脂質が減少したのはフライヤー品、次いでグリル品で、減少した脂質に相当する熱量を計算すると、3個あたり48キロカロリーと39キロカロリーとなる。
揚げないだけのことはある、と思わせる数値だが、油で揚げた本物も揚げ油に肉の脂が流れ出すので、脂質は減少する。そのため、本物とフライヤー品の差は3個あたり34キロカロリーとなり、ご飯ひと口~ふた口分程度の差でしかなかった。

本物よりも好き!?

見た目を比べたとき、大きく違うのは衣。
本物であれば衣は肉全体を包み込んでいるが、揚げないものは加熱中に流れ落ちて薄くなる。さらに、グリル品は縁の焦げのため、レンジ品はベタつきのため、から揚げらしさに欠けて見えた。また、試食したところ、加熱不足気味のトースター品、ややパサつくレンジ品は、味の完成度が低いと感じた。

そこで、本物とグリル品、フライヤー品の3種に絞って、研究員9名、他3名の計12名で略式の官能テストを行なった。
衣の状態に差があったり、焦げ目がついていたりするにもかかわらず、表3のように、「から揚げ」と呼ぶことに違和感を持たない人がいることは意外だった。また、鶏肉料理としての味を評価してもらったところ、最もおいしいと感じたのは本物6名、揚げないから揚げ計6名と、真っ二つに分かれた。

官能テスト結果

まとめ

「この程度のカロリー差なら本物を食べる」、「鶏肉料理としておいしいから、揚げずに手間を省く」などと、意見が分かれる結果になった。これは、人によって、メリットやおいしさを感じるポイントが異なるためと思われる。

しかし、えびフライやトンカツなどのパン粉揚げ、フライドポテトなどの野菜の素揚げを作ってみると、色付きが不足気味でムラがあったり、味が物足りなかったり、乾燥しすぎたりと、今回のから揚げほど揚げ物らしさを感じられない料理もあった。

 

フライヤーは、安いものでも1万円以上する商品。購入を検討している方は、から揚げ調理で評価の高かったグリルを使ってフライなどを作ってみることをおすすめする。

フライヤーは熱風を対流させているので熱効率がよい、という特長はあるが、グリル調理でも焦げすぎないように注意をすれば同程度の調理が可能だ。それを食べてみて、揚げない揚げ物に対する満足度を確認してみるとよいだろう。

(2013.9.19 食品料理研究室)

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