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ゆでた食材の保存

ゆでた食材の保存

ゆでて食べる野菜を買ったら、その日のうちに食べないときでも、すぐにゆでて保存する方が、生のまま保存して食べるときにゆでるよりも美味しいといわれている。また、塩蔵わかめをもどし過ぎたときは、さっとゆでて保存しておくと、すぐに使えて便利だ。
しかし、保存日数が長くなった場合、腐敗の心配はないのだろうか。

研究目的

ゆでて食べる食材を保存するときの取り扱い方、特に素手で触ることの影響を明らかにする。

実験1〜保存試験〜

ほうれん草、絹さや、わかめを用い、ゆでた後に素手で触ったものと手袋をして触ったものの、保存後の一般細菌数を調べる。
試料調整は、各食材につき3人で行った。
素手で触る場合は、一般家庭と同じように、調理前にキッチン用泡ハンドソープで手洗いをした。

《 ゆで食材の準備 》

・ほうれん草
ほうれん草約300gを流水下でよく洗う(写真1)。
熱湯2ℓに2gの塩(1%塩分濃度)を加える。
ほうれん草の根元を20秒加熱し(写真2)、全体を浸して40秒加熱する(写真3)。
冷水にとって1分さらす(写真4)。
半分に分け、食品用の薄いゴム手袋と素手で、それぞれの水気を絞る(写真5、6)。

写真1 写真2 写真3 写真4


写真5 写真6


・絹さや
熱湯2ℓに2gの塩(1%塩分濃度)を入れ、ザルを沈める(写真7)。
絹さや約110gを1分ゆで(写真8)、ザルを上げて水気をきり、10分放置する(写真9)。
半分に分け、手袋と素手で、それぞれのヘタとスジを取り除く(写真10、11)。

写真7 写真8 写真9


写真10 写真11



・わかめ
塩蔵わかめをざっと洗って水に10分浸し、約3cm幅に刻んで約200gを用いる。
熱湯2ℓにザルを沈める(写真12)。
わかめを10秒ゆで(写真13)、ザルごと水に10秒さらす(写真14)。
半分に分け、手袋と素手で、それぞれの水気を絞る(写真15、16)。

写真12 写真13 写真14


写真15 写真16


《 保存条件 》
それぞれジッパー付きポリ袋に入れ、約5℃の冷蔵庫で1週間保存した。

《 一般細菌数測定 》
ゆでた直後と保存後について、食品の微生物汚染の程度を示す指標である一般細菌数を測定し、平均値を求めた。

《 結  果 》
ゆでた直後の菌数は、絹さやとわかめは1g当たり300個(検出限界値)以下、ほうれん草は2.0×104個だった。
1週間の保存後、素手で扱った食材は手袋をしたものよりも細菌数が増えていた(表1)。
手袋ほうれん草の菌数は、ゆで直後よりも減っていたが、ほうれん草は測る場所によって菌数がばらつきやすいため、誤差の範囲と考えた。

表1 保存による一般細菌数の変化



実験2〜ほうれん草の根元の有無〜

実験1で、ほうれん草のゆで直後の一般細菌数が多かったため、根元の影響を調べた。

《 ゆでほうれん草の準備 》
ほうれん草約300gを2セット用意し、ひとつは根元をつけたまま(写真17)、ひとつは根元を約2cm切り落とし、流水下でよく洗う。
根元を切り落としたものは、バラバラになるのを防ぐため、2つに分けて輪ゴムで束ねる(写真18)。
実験1と同様の方法でゆでて水にさらし、手袋をして水気を絞る。

写真17 写真18


《 一般細菌数測定と保存観察 》
根元付き、根元なしそれぞれを半分に分け、ひとつは一般細菌数を測定し、残りはジッパー付きポリ袋に入れて約5℃の冷蔵庫で1週間保存した。

《 結  果 》
ほうれん草は根元を切り落としてゆでると、細菌数が少なくなることがわかった(表2)。
ほうれん草の根元は土に接しているため汚れているが、丁寧に水洗いしても内側に汚れが残ってしまい、1分程度の加熱では殺菌できないことを示している。
また、観察用に保存したものは、根元付きは色が悪くなり(写真19)、ほうれん草の香りが弱かった。

表2 ほうれん草の根元の有無による一般細菌数



写真19 保存1週間後のほうれん草 根元付き(左)と根元なし(右)


まとめ

一般細菌数は、生野菜であれば、正常なものでも1g当たり104〜105個ほどの細菌が検出されることもある。また、腐敗初期の菌数は107個といわれている。
ゆでた食材を1週間、冷蔵保存したとき、もっとも細菌数が多かった「根元付きほうれん草×素手絞り」でも106個、次の「絹さや・素手扱い」が104個と、腐敗するまで菌が増えることはなかった。しかし、素手で触ることで細菌が付着することは明らかで、「根元付きほうれん草×素手絞り」は色と香りが悪くなり、「絹さや・素手扱い」は表面にわずかなヌメリが生じた。
今回の実験では、素手で扱った1週間保存後の食材でも、冷蔵庫から出した直後であれば、そのまま食べても問題が生じる可能性は低い、という結果になった。しかし、お弁当に入れて持ち歩くなど、条件がそろえば食品についた微生物は急速に増える。
やはり、ゆでた食材を保存する場合は、素手で触らないように心がけたい。手袋のほか、箸やラップ、ポリ袋などを上手に使うとよいだろう。

(2015.07.06 食品料理研究室)

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