フジテレビ商品研究所

今までの研究レポート

UV防止化粧品の洗浄性能
      ~石鹸で落とせる?~

女性用フェイスシェーバーの性能評価

最近の紫外線防止化粧品(以下、UV防止化粧品)は、高いUV防御力があるにもかかわらず、塗っても白浮きしにくく、べたつきも少なく、やさしい付け心地で使いやすいものが多くなっています。また、以前は、防止効果が高い化粧品を落とすには、専用のクレンジング料が必要でしたが、「石けんで落とせる」と表記されたものや「いつものクレンジングで落とせます」と表記されたものが多くあり、利便性も向上しています。そこで、本当に石鹸や洗顔フォームなどの洗顔料で落ちるのか、またどのような洗浄が最新のUV防止化粧品に適しているのか調べることにしました。

評価品

表1:評価品のSPFとPAならびに洗浄方法

メイクや化粧下地やファンデーション、UV防止化粧品は、通常、クレンジング料で馴染ませて、その後、洗顔料で洗い流すW(ダブル)洗顔の方法で洗浄します。石鹸やボディソープで落とせるという表記の商品は、洗浄しやすい、簡単に汚れを落とすことが出来ることを特徴にしている商品といえます。評価品は、3と4が子供用でかつ石鹸で洗えると表記されている商品。13と14が50+,++++ながら、石鹸等の洗顔料で落とせると表記されている商品。1、2、5~10が一般のクレンジングで落とせると表記されている商品で、11と12が専用クレンジング不要と表記されている商品です。各商品の詳細については、表2にまとめました。

表2:評価品の詳細

実験方法

1.洗浄に使用した化粧品
洗顔料       F: 洗顔フォーム(ビオレスキンケア洗顔料モイスチャー)
クレンジング料   C: クレンジングクリーム(ポンズWCクレンジングクリーム)
クレンジング料   L: メイク落とし(ビオレマイルドクレンジングリキッド)

2.評価方法と試験手順
洗浄性の評価方法は、紫外線(以下、UV)を照射すると、UV防止化粧品に含まれるUV吸収剤がUVを吸収して暗くなる現象を利用して、洗浄前後での前腕内側のUV吸収剤の残存をUV照射で判定しました。 使用したUV照射ランプはブラックライト(携帯用ウッドランプ:NEMECTRON)です。

試験手順は以下の通りです。
1. 上腕内側に評価品塗布のための枠(2×5cm)を作り、評価品を20mg塗布し、1時間放置。
2. ブラックライト照射(洗浄前の塗布の様子を観察)
3. 洗浄(洗浄は洗顔料のみの場合と、ダブル洗顔の2条件)
  ● クレンジング料約200mgを直接、1. の上に塗布し、指2本を使って200gf前後(※)
  の力で押し付けて10秒間、円を描く。
  (※ 200gfは、電子天秤の秤量皿を普段洗顔する時の力で押した時の重さ。
  本試験では、秤量皿を押した時と同じ力で円を描いて擦ることとした。)
  ● すすぎ5秒(シャワーすすぎで、温度はぬるま湯)
  ○ 引き続き、200mgの洗顔料を両手で泡立て、泡立てた洗顔料を1. にのせ、
  クレンジング料と同様の条件で洗浄。
  ○ すすぎ5秒(シャワーすすぎで、温度はぬるま湯)
  ○ ティッシュoffして軽く水気をきる。
洗浄が洗顔料のみの場合は、● のクレンジング料での洗浄を行わない。
4. ブラックライト照射(洗浄後の状態を観察)
5. 翌日、ブラックライト照射(24時間後の入浴した肌の状態を観察)

結果とまとめ

写真1は1~5の、写真2は6~10の、ダブル洗顔(クレンジング料はCを使用)前後と、翌日(入浴あり)のUV照射の写真です。「石けんで落とせる」と表示されたこども用の3、4は、洗顔料だけの洗浄でも、きちんと落ちていることが分かりました。しかし、「一般のクレンジングで落とせる」と表示してある1、2、5~10の全ての商品は洗顔料のみでは落とせませんでした。次に、クレンジング料と洗顔料でのダブルで洗浄したところ、目視では落ちているように見えましたが、ブラックライトの光を当てると、UVを吸収して暗く見えるところが3、4以外の全ての評価品でみられ、目視では確認できない評価品が残っていることが分かりました。しかし、その後、夜の入浴を指示して翌日、24時間後の状態を確認したところ、UVを吸収するところはほとんど見られず、入浴をすれば洗い落とせていることが分かりました。

写真1:評価品1~5の洗浄比較

写真2:評価品6~10の洗浄比較

次に、50+表示で、「石鹸やボディソープで落とせる」と表記のあった13、14の洗浄性能について写真3に示します。対照に選んだのは、同じ50+の商品で「一般クレンジングで落とせる」表記の5と、「専用クレンジング不要」表記の11と12です。石鹸やボディソープで落とせると表記してある13も14も洗顔料では落ちていないことが分かり、さらに、ダブル洗顔した後でも、対照の5、11、12とほとんど変わらず、ダブル洗顔後でも落とし切れておらず、洗浄性能に差が見られませんでした。

写真3:評価品11~14の洗浄比較

そこで、クレンジング料のタイプの違いで、洗浄性能に違いが見られうのか調べてみました。対象にした評価品は、ともに耐水性で50+,++++のもの2点。一つは、「一般のクレンジングで丁寧に洗い流して」という表記のある5。もう一つは「石けんでするりと落ちる!」表記のある14です。この2つの評価品を、洗顔料(F)のみで洗った場合と、クレンジング料をクリーム(C)とリキッド(L)でそれぞれクレンジング後に、洗顔料(F)でダブル洗浄した場合を調べました。その結果、洗い方表示に関わらず、いずれのも場合もブラックライトを当てると塗布面が暗く見えるところが残っていました。クレンジング料の種類で落ち方に違いがあるかどうかは、評価品5と14では、クリーム(C)とリキッド(L)で暗く見える見え方に明らかな同じ傾向を示してはおらず、今回の実験では判断できない結果でした。

写真4:洗浄方法、クレンジング料の違いの比較

このように、「石けんで落とせる」と表示されていても、こども用以外のUV防御力の高い化粧品は、一定回数の力で行う今回の実験のような簡単な洗浄方法では、洗顔料だけでは落とせませんでした。皮膚の表皮角質細胞の生まれ変わりが正常に働いていれば、入浴をして一日ほど経てば身体に塗ったものは自然になくなっていくようです。おそらく顔面においても、通常の洗顔やスキンケアをして一日ほど経てば、角質細胞の垢と一緒に取り除かれると思われます。 耐水性の高いUV防止化粧料を顔面に塗ったときには、オイルクレンジングなどクレンジング力がより高い化粧料を使用して洗顔料とのダブル洗顔を行い、さらにその洗い方も優しく時間をかけて丁寧に行った方が良いようです。 また、肌が敏感なヒトや皮膚の新陳代謝が正常に働いていない時は、高UV防止化粧品ではなく、洗い落しやすいこども用などの低SPF、低PAの化粧料を使用し、日中は何度か塗り直しをして、帽子や日傘、衣服などで遮光するように心がけてください。

※ この実験は独立行政法人国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センター長の野澤桂子先生との共同研究「がん治療に伴う皮膚変化の評価方法と標準的ケアの確立に関する研究」の紫外線対策のパイロット研究として実施したものです。

(2014.07.04 暮らしの科学部長 菅沼 薫)

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