フジテレビ商品研究所

研究レポート・今までの話題のアイテム

2012年度入浴剤の調査

2012年度入浴剤の調査

2012年に販売された入浴剤を調査し、入浴剤マップを作成しました。
2007年に行った調査事例と比較し、トレンドの変遷と入浴剤の効果を調べてみました。

研究目的

2012年に市場に出回った入浴剤は、健康志向の高まりを受け、血行促進による疲労回復効果をうたう炭酸ガス系がシェアを大きく伸ばしている。2012年に市販された入浴剤29点を購入し、商品特徴の調査と性能評価を行った。 2012年度版入浴剤マップを作成し、2007年に調査してまとめた入浴剤マップと比較し、トレンドの変遷とその効果について調べる。

試験概要

購入した入浴剤29品を分類分けし、入浴剤マップを作成し、2007年度版との比較を行う。さらに、その中から15品(表1の○)を選び、研究員4名による使用感評価を行い、レーダーチャートを作成する。性能評価については、炭酸ガス系入浴剤の温浴効果をサーモ画像で、スキンケア系入浴剤の保湿効果を肌水分量とマイクロスコープ画像で評価する。

試験品

購入した入浴剤29点を(表1)に示す。
内訳は、炭酸系10品、温泉ミネラル系3品、スキンケア系13品(液体6品、粉末1品、分包6品)、その他3品。

(表1) 購入した入浴剤

評価 商品名 メーカー 分類
1 きき湯 バスクリン 炭酸
2 きき湯 ファインヒート バスクリン 炭酸
  3 バスクリン カラダプラス
     アロマスパークリング
バスクリン 炭酸
4 バブ 花王 炭酸
5 薬用バブ
     メディケイティッド
花王 炭酸
6 マイクロバブ 発汗入浴 花王 炭酸
7 バスキング
     炭酸ガスの薬用入浴剤
白元 炭酸+スキンケア
  8 バスララ 発汗温浴 白元 炭酸+スキンケア
  9 バスララ 美的温浴 白元 炭酸+スキンケア
  10 バスセレブ 10種の香り 井藤漢方製薬 炭酸+スキンケア
11 日本の名湯 源泉の愉しみ バスクリン 温泉ミネラル
12 薬用入浴剤 旅の宿シリーズ クラシエ 温泉ミネラル
  13 露天湯めぐり アース製薬 温泉ミネラル
14 エモリカH フローラルの香り 花王 スキンケア
15 キュレル 花王 スキンケア
16 ソフレ バスクリン スキンケア
  17 ビオレu バスミルク 花王 スキンケア
  18 バストロジー ボディケア入浴液 ライオン スキンケア
19 ウルモア アース製薬 スキンケア
20 バスロマン
       プレミアムセレクション
アース製薬 スキンケア(粉末)
  21 お姫様風呂 紀陽除虫菊 (分包)スキンケア
22 お湯物語 贅沢泡とろ 牛乳石鹸共進社 (分包)スキンケア
  23 ブクブクアワー ヘルスビューティー (分包)スキンケア
24 お湯ごと美容液 バイソン (分包)スキンケア
  25 シーランマグマ風呂 シーラン (分包)
 発汗+スキンケア
  26 生姜風呂 ノルコーポレーション (分包)
 発汗+スキンケア
  27 ラクラクジェル
       シャワータイムバブ
花王 シャワー用
  28 バスロマン
       スキンケアシャワー
アース製薬 シャワー用
  29 エモリカ蜜肌
       ぬれ肌用ボディ乳液
花王 浴室内使用乳液

試験項目

1.  入浴剤の調査
       成分や価格、商品特徴を調査する。
       入浴剤分類マップを作成する。

2.  使用感評価(7段階)
       浴剤15種類(表1の○)を研究員4名が実使用し、7段階で評価する。

3.  温浴効果試験
       炭酸ガス系入浴剤3点について、温浴効果をサーモ画像で観察する。

4.  保湿効果試験
       スキンケア系入浴剤(1点)、シャワー用商品(1点)をボディミルクとさら湯を対照に、
       保湿効果を肌水分量とマイクロスコープ画像で評価する。

試験結果

1.  入浴剤の調査
       購入した入浴剤について、商品の特徴を一覧表(表2)にまとめた。

(表2)入浴剤の成分一覧表(2012年)①炭酸ガス系入浴剤

炭酸ガス系入浴剤は、炭酸ガス量を増やした商品や保湿成分、アロマを付加した商品など種類が増えている。新しいものとして、シャワー時に使用する洗い流すローションなどシャワー用商品も登場してきた。分包バラ売り入浴剤は、1個(1回)単価は高いがバラエティに富んでいる。商品の特徴をもとに作成した2012年度版入浴剤マップを(図1)に示す。

(図1)2012年度版入浴剤MAP

2012年に購入した入浴剤を効能訴求・目的別に分類すると、以下のようになる。

①  炭酸ガス系入浴剤 炭酸ガスによる血行促進、疲労回復を訴求。
②  温泉系入浴剤 温泉ミネラルによる温浴を訴求。
③  保湿系入浴剤 スキンケア効果を訴求。
④  分包バラ売り入浴剤 バラエティ感ある個別梱包。
⑤  シャワー用商品 シャワー入浴に使用する商品。

 

炭酸ガス系入浴剤
炭酸ガスによる血行促進・疲労回復訴求タイプは、錠剤に加えて顆粒や粉末の剤型が発売されている。中でも従来の炭酸ガス量を上回る「きき湯 ファインヒート」は大型の粒で従来比3倍の溶存炭酸ガスによる血行促進を訴求し、「薬用バブ メディケイティッド」は炭酸濃度を従来比1.5倍、泡の数10倍による効果の実感を訴求している。さらに、スキンケア成分を配合して保湿効果の訴求も加えたり、アロマを付与して香りによるリラックス感やバラエティ感を訴求する製品も多く発売されている。分包にしてバラ売リしているものもある。
温泉系入浴剤
温泉ミネラルによる温浴訴求タイプは、ほとんどが粉末タイプで温泉ミネラルの無機塩による温浴効果を訴求している。これに加えて、生薬や様々な保湿成分を配合しているものもある。
保湿系入浴剤
スキンケア効果訴求タイプは、保湿オイルの乳化製剤などのミルクタイプが主流で、様々な保湿成分で差別化を図っている。
分包バラ売り入浴剤
分包バラ売りタイプは、発泡成分や保湿成分などを配合した保湿系や炭酸ガス系、ヨモギや生姜を入れた発汗系などバラエティに富んだユニークな商品が多い。
シャワー用商品
シャワー用商品は、ここ近年、各社から発売されている。この商品は厳密には入浴剤ではなく、シャワー時に使用する洗い流すローションである。夏用では保湿成分とともにサラサラ成分や清涼剤を配合してベタつきを抑えたり清涼感を付与して風呂上りの快適さを訴求している。通年用では保湿成分や温感成分を配合し、温熱や保湿を訴求している。

2007年度版入浴剤マップを(図2)に示す。

(図2)2007年度版入浴剤MAP

2007年の調査では、美肌ニーズの高まりからお風呂で手軽にスキンケアが行える「保湿」を目的としたスキンケアタイプの入浴剤、そして岩盤浴、ゲルマニウム温浴の流行から発汗、デトックスなどメタボ対策を目的とした「発汗」を促す商品が目立った(参照:FCG 新LABO 2008 vol.002)。

2012年は、健康志向の高まりを受けて、炭酸ガスの血行促進による疲労回復効果などを訴求した商品が多くなり、「美肌・スキンケア入浴剤」から血行促進、疲労回復などを訴求する「健康・ヘルスケア系入浴剤」に変遷していることが分かる。

2.  使用感評価
研究員4名による入浴剤15種類の使用感評価の結果を(図3)に示す。

(表3)入浴剤の使用感評価

入浴剤15種類それぞれについて、7段階で評価した評価値を5段階(1:1-2,  2:3,  3:4,  4:5,  5:6-7)に変換して、A〜Hの項目についてレーダーチャートを作成し、(表3)にまとめた。

(表3)入浴剤15種類の使用感評価一覧表

炭酸ガス系入浴剤は「温まり感」「発汗」「温まり感の持続」の項目で評価が高く、炭酸ガス量が多い商品ほど高い評価であった。温泉系入浴剤は「温まり感の持続」「疲労感・倦怠感」の評価が高く、スキンケア系入浴剤のミルクタイプや分包のものは、しっとりなどの「肌状態」の項目で評価が高かった。

3.  温浴効果試験
<試験方法>

試験方法 足浴前後の皮膚表面温度の変化をサーモ画像で観察する。
試験品 ① バブ(商品番号NO.4)
② 薬用バブ メディケイティッド(NO.5)
③ マイクロバブ 発汗入浴(NO.6)
足浴条件 足浴10分、湯温40℃、入浴剤濃度は通常使用量の4倍濃度
環境条件 23℃室温設定
測定機器 サーモ Nikon LAIRD-S270A
被験者 40代、50代女性 2名

<試験結果>
炭酸ガス系入浴剤3種類について、足浴をする前と直後から20分経過までの皮膚表面温度の変化を(表4)にまとめた。

(表4)炭酸ガス系入浴剤の温浴効果

足浴直後から10分まで、「薬用バブ メディケイティッド」は「バブ」に比べて皮膚表面温度が高めで温浴効果は高かった。「マイクロバブ 発汗入浴」の温浴効果は他の2点に比べて低かった。

4.  保湿効果試験
<試験方法>

試験方法 足浴前後の肌水分量とマイクロスコープ画像観察で保湿効果を比較する。
試験品 ① ウルモア(NO.19)
② さら湯 → バスロマン スキンケアシャワー(NO.28)
③ さら湯 → ニベア スキンミルク(ボディ用乳液:しっとりタイプ)
④ さら湯
足浴条件 足浴10分、湯温40℃、入浴剤濃度は通常使用量の4倍濃度
環境条件 23℃室温設定
測定機器 水分量計  SKICON-200EX
マイクロスコープ(60倍)
被験者 40代、50代女性 2名

<試験結果>
(1)  保湿効果
       4条件で足浴をした時の足浴をする前と足浴後3分から30分までの肌水分量を測定し、
       足浴前の肌水分量を100とした水分量の変化を表した(図4)。

(図4)肌水分量の変化(40代)

1. 40代、50代ともほぼ同じ傾向を示した。
2. ウルモア(入浴剤)はさら湯よりも肌水分量は多い状態であった。
3. ウルモアとスキンケアシャワー(シャワー用商品)はほぼ同じ肌水分量の推移で、保湿効果は同程度。
4. さら湯後にボディミルクを塗布した場合が、肌水分量を最も高い状態で維持出来た。

スキンケア系入浴剤は、さら湯に比べて肌水分量を高く維持でき、保湿効果があった。シャワー用商品は、スキンケア入浴剤とほぼ同等な効果であったが、いずれもボディミルクを塗布した時ほどの効果はなかった。

(2)  スキンケア効果
       4条件で足浴をした時の足浴前と浴後30分の皮膚表面画像を(表5)にまとめる。

(表5)入浴剤のスキンケア効果

1. 40代、50代ともほぼ同じ傾向を示した。
2. ウルモアはさら湯よりも肌状態が良好であった。
3. ウルモアとスキンケアシャワーはほぼ同等な肌状態であった。
4. さら湯後にボディミルクを塗布した場合が、肌状態を最も良好な状態にした。

スキンケア系入浴剤は、さら湯に比べて肌表面のかさつきが軽減され良好な肌状態になりスキンケア効果があった。シャワー用商品も、スキンケア入浴剤とほぼ同等な効果があったが、いずれも足浴後にボディミルクを塗布した時ほどの効果はなかった。

まとめ

(1)  入浴剤トレンドの変遷

  • 2007年度は、美肌ニーズの高まりから「保湿」を目的としたスキンケアタイプの入浴剤と、発汗、デトックスなどメタボ対策を目的とした「発汗」を促す商品が多かった。入浴剤でスキンケア効果も期待できるものだった。

  • 2012年度は、健康志向の高まりを受けて、炭酸ガスの血行促進による疲労回復効果などを訴求した商品が多くなり、「美肌・スキンケア入浴剤」から血行促進、疲労回復などを訴求する「健康・ヘルスケア系入浴剤」に変遷している。

(2)  2012年度入浴剤のまとめ

①  炭酸ガス系入浴剤

  • 従来品より炭酸ガスを多く含む商品、スキンケア成分を加えて保湿効果もプラスで訴求する商品やアロマの香りを付加してリラックス感も訴求する商品など種類が増えている。

  • 使用感評価では、素早く体が温まり早めに熱いと感じられ、入浴後の温まり感が持続し疲労感も取れる感じがすると評価された。炭酸ガスを多く含む入浴剤の満足度は高かった。

  • 温浴効果は、炭酸ガスを多く含む商品の方がやや高かった。足浴直後から10分までの皮膚表面温度は炭酸ガスを多く含む商品の方が高かった。このことは使用感評価とリンクしている。

②  温泉系入浴剤

  • 温泉ミネラル成分が配合されて手軽に温泉気分が味わえる。

  • 使用感評価では、入浴後も全身がポカポカして疲労感が取れる感じがすると評価され、入浴剤としての満足度は高かった。

③  保湿系入浴剤

  • ミルクタイプと粉末タイプがあり、保湿成分やエモリエント成分が配合されている。

  • 使用感評価では、ミルクタイプが入浴後の肌がしっとりすべすべすると評価され、満足度は高かった。

  • ミルクタイプの保湿効果はさら湯に比べて高く維持され、肌表面のかさつきが軽減され良好な肌状態になった。これは、保湿成分やエモリエント成分が入浴中に皮膚表面に吸着し、肌水分の蒸散を抑え肌表面がなめらかになったと思われる。
    しかし、入浴後にボディミルクを使用した時ほどの効果はなかった。

④  分包バラ売り入浴剤

  • バラエティに富んだユニークな商品が多い。

  • ボトル・箱タイプなどファミリー向け商品に比べると1個あたりの単価は高い。

  • その日の気分にあった商品を選ぶことができ、贅沢感が味わえる。

⑤  シャワー用商品

  • シャワー浴に使用する洗い流すローション。

  • 使用感評価では、入浴後の肌はしっとりすると評価された。

  • 保湿効果は、保湿系入浴剤とほぼ同等であった。
    しかし、浴後にボディミルクを使用した時ほどの効果はなかった。

(2013.02.06 美容・健康科学研究室)

▲PageTop