フジテレビ商品研究所

今までの研究レポート

パナソニック株式会社からの委託研究

電気シェーバーと
安全カミソリ使用者の
肌は違う

〜20代と50代男性の肌調査から〜

男性のヒゲ剃り方法に着目し、電気シェーバ、安全カミソリいずれかのみでヒゲ剃りをしている男性の肌を調査計測しました。

男性の肌は、皮脂が多いのに、同年代女性よりキメが粗く、非常に乾燥しています。(詳しくは、研究所レポート【男性の肌は、女性よりも乾燥しているの?】、もしくはFCG新LABO2010.9.23号をご覧ください)。また、女性の肌が年齢と共に黄みがかるのに対し、男性は赤黒くなります。男性の肌の老化には、男性特有の事情があるようです。

 そこで、ヒゲ剃りの影響に着目し、20代と50代で、電気シェーバーと安全カミソリいずれかのみを使用している男性(計64名)の肌調査を行ないました。その結果、図1のように、20代と50代男性の肌を比べると、50代の男性の肌は、赤黒くなるだけでなく、頬からアゴ下にかけてたくさんの色素沈着が見られました。さらに、色素沈着は、安全カミソリ使用者により目立っており、男性の肌老化にヒゲ剃りが大きく影響していることが分かりました。

男性アゴ下写真

調査方法

男性の肌が非常に乾燥し、肌色が赤黒くなり、頬からアゴ下にかけて多くの色素沈着がみられるのは、毎日のヒゲ剃りとその後のスキンケアの怠慢によるものと考えられます。
 調査は、ヒゲ剃り習慣がはじまって間もない20代男性と、30年以上ヒゲを剃っている50代男性で行い、各々の年代で電気シェーバーと安全カミソリのみを長期に使用している群(各群16名、合計64名)で比較しました。

調査内容 20代と50代の男性の肌調査
リクルート条件 ○ 電気シェーバーか、安全カミソリのどちらかのみ週5日以上使用している。
○ 個人のヒゲの濃さ、ヒゲ剃り用具のメーカーは規定しない。
計測日 2010年11月25日〜12月12日
計測条件 洗顔後、23℃湿度50%の室内で20分間座位安静後に肌計測
計測部位 頬、鼻下、アゴ、アゴ下
計測項目 肌拡大写真、水分量、角層水分蒸散量、皮脂量、肌弾力、キメ係数、 肌色、剥離角質細胞 観察、アンケート(肌状態自己診断)
★ 画像判定は研究員5名による5段階評価。

調査結果

1)写真による肌状態の観察
図1は、今回肌調査を実施した男性のアゴ下の写真です。下段の50代の肌は、肌色が赤黒くなり、弾力がなくゴワゴワとして肌荒れ気味、ヒゲのある部位にたくさんの色素沈着ができていました。女性には、50代でもこのような色素沈着はありません。安全カミソリ使用者には、20代でもアゴ下に色素沈着が見られたことから、男性特有のこの色素沈着は、ヒゲ剃りに起因するものということが分かりました。

2) マイクロスコープ肌拡大写真による肌状態の観察
頬、鼻下、アゴ、アゴ下のマイクロスコープ写真(×40)を撮り、「全般的な肌状態」、「キメ」、「かさつき」の項目を美容専門家が評価しました。20代と50代の年代の比較では、20代が明らかに良い結果となりました。さらに詳しくは、各部位の「全般的な肌状態」の観察結果についてまとめた図2から図4で、それぞれの部位での特徴について述べます。

図2は、頬の「肌状態」判定結果と、各群の頬の典型的なマイクロスコープ写真です。20代シェーバー使用者の肌の状態がやや良い結果ですが、有意な差は確認できませんでした。ただし、「キメ」の判定では、20代同士の比較でシェーバー使用者が有意に良く、カミソリ使用者のキメが乱れがちなことが分かりました。また、50代では、特にカミソリ使用者の頬の毛穴が目立っていることも分かりました。

図3は、鼻下の「肌状態」判定結果とその写真です。20代ではヒゲ剃り方法での差が少ないものの、50代では、有意にシェーバー使用者の肌状態が良く、「キメ」、「かさつき」の判定も同様でした。年齢と共に、キメは乱れ、肌状態も悪くなっていることが分かります。また、カミソリ使用者には、20代、50代ともに、毛穴周り全体が丸く削られるような角質の損傷も多く見られ、肌のかさつきも目立ちました。

図4は、アゴの「肌状態」判定結果とその写真です。アゴは、他の部位以上に年齢の差による違いが顕著に見られ、20代より50代で有意に肌状態が悪く、ヒゲ剃り方法では、両年代ともに有意にシェーバー使用者の肌状態が良く、「かさつき」、「キメ」の判定も同様でした。ヒゲ剃りが肌を傷める、男性の肌の老化を助長していると考えられます。

図5は、アゴ下の「肌状態」判定結果とその写真です。20代のシェーバー使用者の肌状態は、「やや良い」でした。一方、50代のカミソリ使用者は、20代のカミソリ使用者、および同年代のシェーバー使用者に対して有意に悪く、最も悪化していました。アゴ下は、紫外線の影響をあまり受けないため、女性では50代でもシミがなくキメも整っています。しかし、「ヒゲ剃り」を習慣的に行なわなければならない男性には、このことは当てはまりません。アゴ下の安全カミソリ使用者の肌状態の悪化は、「ヒゲ剃り」が紫外線以上に男性の肌老化に影響を与えていたことを示しています。

3) ヒゲ剃りの判定
 さらに、ヒゲ剃りが上手くできているかを判定しました。肌の状態が良いのは、20代でヒゲ剃りが下手で丁寧なヒゲ剃り(深剃りや剃り残しのない)ができていないためではないかという懸念を確認するためです。
 結果は図6に示すように、いずれの群でもヒゲ剃りの仕上がりに有意な差は認められず、各群16名の平均では、20代のシェーバー使用者が、むしろきれいに剃れていることが分かりました。

マイクロスコープ写真による「肌状態」観察と、「ヒゲ剃り」判定の結果は、ヒゲ剃りの方法による肌への影響の差が著しいことを示しました。鼻下、アゴ、アゴ下のヒゲのある部位はすべて、シェーバー使用者の肌状態がカミソリ使用者より良好な状態でした。20代では、シェーバーとカミソリで有意差に至らない場合があるものの、50代になるとシェーバー使用者の肌状態が有意に良く、年齢と共にヒゲ剃り方法による差が大きくなることが分かりました。また、カミソリ使用者には、鼻下に多い、毛穴周り全体の角質の損傷も多く、角質細胞写真の評価で有意に悪かったという結果とも一致しました。このことから、長期にわたるカミソリ使用が、肌老化を早める原因となっていると考えられます。

4) 肌水分量、肌色などの計測

肌水分量は、頬、アゴ、アゴ下では、アゴ下が最も高く、3部位の中では潤っている状態でした。図7は、そのアゴ下の水分量と水分蒸散量(数値が高いほど肌荒れしている)です。肌水分量は、年代間の差はなく、シェーバーとカミソリでは、シェーバー使用者で高くなっていました。水分蒸散量では、ヒゲ剃り方法の差は確認できないものの、年代の比較では、20代は50代より水分蒸散量が有意に少なく、50代の方が肌荒れ傾向であることが分かりました。

図8は、頬の肌色、図9は頬の肌弾力の結果です。肌色は、20代が有意に明るく、50代は暗く赤みが強くなっていました。肌弾力も有意に20代が高く、男性は、年代と共に肌が赤黒くなり、弾力が失われ、ゴワゴワした状態になっていくことが分かりました。ヒゲ剃り方法の違いでは、20代50代共に、シェーバー使用者の方が、肌はやや明るいという結果となりました。この結果は、図2のマイクロスコープ写真での判定でも、同じ傾向を確認できました。
その他の計測項目では、シェーバー使用者は、カミソリ使用者より有意に皮脂量は少なく、キメは整っていました。
電気シェーバーと安全カミソリ使用者の肌を比較すると、肌状態はシェーバー使用者が良く、シェーバーが、カミソリに比べて肌に優しく、乾燥や肌荒れ、色素沈着など長期にわたり、肌に与える影響が少ないことが分りました。また、紫外線による影響が少ないアゴ下部分の肌の状態の結果から、男性の「ヒゲ剃り」は、紫外線による光老化に匹敵するほど、肌に悪影響を及ぼし、肌老化の原因となることが分かりました。

まとめ

〜男性こそスキンケアを〜 毎日のヒゲ剃りの仕方と、その後のスキンケアは男性の肌の老化に大きく影響すると考えられます。男性は、ヒゲ剃りとスキンケアを同列で意識することが大切です。例えば、「ヒゲ剃り後、必ず乳液やクリームをつける。」、「ヒゲ剃りで出血するときは、肌を傷めるので、ヒゲ剃り方法を変えてみる。」といったことです。
肌の美しさは、見た目の印象を左右します。それは男性も同じです。
無頓着が男らしいということはありません。肌に優しいヒゲ剃り方法を選び、スキンケアの習慣を身につけることが大切です。
男性はヒゲのあるところにシミができているので、男性こそ「美白スキンケア」が必要といえるでしょう。

(2012.04.11 美容・健康科学研究室)

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