フジテレビ商品研究所

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男性の肌は、女性よりも乾燥しているの?

「バスソルトの溶解性と温浴効果」

 塩の塊を入浴剤として使うバスソルトについて、その溶解性と入浴効果についてご紹介します。

タラソテラピーとバスソルト

 ヨーロッパ、特にフランスで古くから行われているタラソテラピーは、ミネラルを海水から直接肌へ吸収することで、美容や健康に役立てる自然の療法です。ギリシャ語でthalasa=「海」とフランス語でtherapeia=「療法」とを併せた造語です。日本語で「海洋療法」と訳され、簡単に言えば海辺に滞在して、その景観を楽しみながら、海洋気候のもとで海水、海藻、海泥を用いたさまざまな療法を行うという自然療法です。日本では、高知県室戸市のDeep Sea Therapy Center &HOTELの開設で、一躍 、タラソテラピーという言葉がメジャーになり、日本でもタラソテラピーが体感できる施設として注目されています。

 この海水による療法を自宅で手軽に行えるとして発売されたのがバスソルトです。ミネラル豊富な塩(ソルト)そのものを取り出し入浴剤として売られています。バスソルトは塩分をベースとした入浴剤で、ハーブなどと組み合わせて様々なバリエーションのものが市販されています。バスソルトは発汗作用があることが知られています。汗をかくことで体内の老廃物や毒素が排出される(デトックス)といわれ、さらに発汗が痩身にも効果的であることから、岩盤浴や半身浴によるデトックスブームを経て、バスソルトは家庭用の入浴剤として市場に定着してきました。

目的

 バスソルトを購入して原産国、形状、成分や価格の調査を行い、バスソルトの温浴効果と溶解性を測定しました。

試験方法

【1】 温浴効果

バスソルト投入足浴前後の皮膚表面温度をサーモレコーダーで経時的に計測する。
足浴はフットスパ深型タイプ(EH283-W 松下電工)を使用。

測定器 熱電対 サーモレコーダー(KEYENCE NR-1000)
部位: 左右脚親指付け根と三陰交計の4箇所
浴容量: 8L
入浴条件: 40℃、10分間
入浴剤濃度: 標準使用濃度の約4倍濃度
8Lに、入浴剤「バスソルト」約6.4g投入
*「バスソルト」の標準使用量は200Lに対し40g
環境条件: 約22℃・50%RHのオフィス環境内で20分間座位安静後測定する。
測定時間: 足浴前10分前〜足浴後40分

【2】 溶解性測定

500mlビーカーに水500ml入れバスソルト0.4gを投入(0.8g/L:標準使用濃度の約4倍)38℃で溶解する。40mmの回転子でスターラー(180rpm)を使用して全に溶解するまでの時間を測定する。

試験結果

【1】 バスソルトの市場調査

バスソルトの原産国は、ヨーロッパ(ドイツ、フランス、)から中近東(イスラエル)、南米(ボリビア、メキシコ)、ネパール、パキスタン、オーストラリアまで多岐にわたり幅広くある。形状は、粒状のものや結晶の大きなものまで様々である。自然界で結晶化された天然の岩塩や海塩であり、天然のミネラルが含まれている。原産国が日本の商品は自然塩を輸入して(または自国のものに)保湿成分や植物エキス、香料、着色剤を添加加工しているものが多い。使用1回分の価格は、バスソルトの結晶が大きい商品ほど200〜400円と高い。一般的な無機塩類入浴剤が1回100円前後であるのに比べ、やや高額である。

【2】 効果試験
(1)温浴効果(足浴時の皮膚表面温度の経時変化)

バスソルトの温浴効果は、無機塩類系入浴剤の代表的な「バスクリン カラダプラス」と比較すると低い。これはバスソルトには塩化ナトリウムのほかに天然ミネラルが含まれているのに対し、無機塩類タイプの入浴剤には保温効果のある硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが配合されており、バスソルトにこれら保温効果のある成分が含まれていないことによるものであると思われる。 バスソルトは足浴後10分経過後から皮膚表面温度がさら湯より低くなった。これはバスソルトが発汗作用を促し、汗と供に熱を放出し皮膚表面温度が下がったものと考えられる。

(2)溶解性

結晶の大きなバスソルトほど溶解性が悪い。また結晶がさほど大きくなくても溶解性の悪いものもある。一般的な入浴剤がお湯の中でさっと溶けていくのに比べるとバスソルトは溶けるまでに時間がかかりすぎる。標準使用の約4倍濃度(0.4g/500ml)のバスソルトを回転子で撹拌し、38℃で完全に溶解するのに3〜4分を要するものもある。

まとめ

  1. バスソルトは、さら湯と同程度の保温効果で、従来タイプの無機塩類入浴剤に比べて保温効果はなかった。これは、無機塩類入浴剤には硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの保温成分などが含まれて皮膚表面に吸着して熱の放出、放散を抑えているのに対して、バスソルトは発汗を促し、汗とともに熱も放出されるため皮膚表面温度が下がったと思われる。
  2. バスソルトは、従来の入浴剤に比べて溶けるのに時間がかかった。バスソルトは時間をかけてゆっくり入浴する半身浴に向いた商品といえる。
  3. バスソルトは従来の入浴剤に比べて高額であり、無機塩類(温泉成分)や保湿成分、エモリエント成分を配合した従来の入浴剤の方が低額で入浴効果が期待できる。しかしながら香りを楽しみたい時、発汗を促したい時、普段の入浴では味わえない入浴をしたい時など、リラックスやデトックスなどの目的に合わせて利用するとよいと思われる。

バスソルトの皮膚表面温度の経時的変化

バスソルトの皮膚表面温度の経時的変化

バスソルトの皮膚表面温度の経時的変化

バスソルトの皮膚表面温度の経時的変化

バスソルトの皮膚表面温度の経時的変化

バスソルトの成分一覧表

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