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日本家屋害虫学会第32回年次大会プログラム

2011.03.10

2011年2月26日(土)、東京農業大学世田谷キャンパスにて開催された日本家屋害虫学会第32回年次大会プログラムにおいて、研究発表を行いました。

【日 時】 2011年2月26日(土)
【主 催】 日本家屋害虫学会
【場 所】 東京農業大学世田谷キャンパス メディアホール(1号館4階)
【演 題】 「タバコシバンムシの体表面と室内空気中から分離された真菌 Aspergillus ochraceusAspergillus fumigatus のマイコトキシン産生能の比較」
川上裕司・橋本一浩(エフシージー総合研究所 環境科学研究室)
陰地義樹・浅野勝桂(奈良県保健環境研究センター 大気環境担当)
【要 旨】 [はじめに]
 演者らは,タバコシバンムシが人の住環境に極めて普通に生息していること,また,本種の体表面から病原微生物が分離されることを明らかにしている。これまでに,本種から分離された Aspergillus ochraceus が食品分離株と比較して高い確率でマイコトキシン(カビ毒)の産生能を有することを報告している(川上・中野,1996,1997;川上・加瀬,1998;川上ら,2002,2004,2009)。しかしながら,タバコシバンムシが A. ochraceusをどこから付着させてくるのかについては研究の途上である。 室内環境中に浮遊する真菌類はルーツを辿れば土壌であることが想像され,一般住宅に限らず,学校などの公共施設や製造工場などあらゆる室内空間に存在する。実際に,室内浮遊真菌を調べることで,建物内の真菌汚染の状況を大凡知ることができる。 今回は,タバコシバンムシから分離された2種の AspergillusA. ochraceusおよび A. fumigatus)と,同場所・同時期に室内空気中から分離され同2種のマイコトキシン産生能を分析し比較したので報告する。

[室内空気中からの真菌分離]
 トラップを設置している部屋および屋外の空気中から,各週ごとに真菌を捕集した。浮遊真菌の捕集にはSASスーパー100CR エアーサンプラー(International Pbi社)と,DG-18平板培地を用いた。平板培地をセットしたエアーサンプラーを三脚に取り付け,床上1.2mの高さに設置し,100ℓの空気とともにカビを捕集した。上記の平板培地を26℃で5~10日間培養後,発生した A. ochraceusおよび A. fumigatusのcolonyを釣菌し,新たな平板培地で純培養した。

[マイコトキシンの分析]
 分析方法は市販の米麦粒5gを50ml容の三角フラスコに入れ,水4mlと1%ペプトン水1mlを加えて3時間吸水させた後,高圧蒸気滅菌を行った。これにカビを植菌し,20℃で10日間培養した。次に,培養試料物に酢酸エチル20mlを加えて3時間静置後,濾過して酢酸エチル抽出液を得た。抽出液1mlを試験管に移し,40℃で乾固させ,メタノール0.75mlに溶解させ試験液とした。ダイオードアレイ検出器,蛍光検出器を直列したHPLCに試験液10µlを注入して予備測定を行い,低濃度であったサンプルは希釈せずに,高濃度であったサンプルは適宜20%メタノールで希釈して,LC/MS/MSに10µl注入してマイコトキシンの測定を行った。

[結果]
 タバコシバンムシは東京都住宅から450頭,埼玉県住宅から657頭(計1107頭)が補穫された。そのうち,東京都住宅から403頭,埼玉県住宅から332頭(計735頭)を真菌の分離に供した。浮遊真菌はそれぞれ平板培地120枚ずつ,計240枚をサンプリングした。 結果,タバコシバンムシおよび室内浮遊真菌から複数の A. ochraceus および A. fumigatusが分離され,多くがマイコトキシンを産生することが明らかになった。

 
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