vol.30 アゲハチョウの育て方
〜蛹(さなぎ)から蝶に変わる瞬間を観察しよう!〜

 最近では、家庭で昆虫を観察したり飼育することがなかなか難しい...環境に変わりつつあるかもしれません。しかしながら、昆虫の生態を観察することは、生命(いのち)の大切さを学ぶことにつながりますし、親子のコミュニケーションにも一役買うことにもなります。


アゲハチョウの育て方

 子供の夏休みの自由研究に昆虫を育てたいけど、何かいいものはありませんか? と聞かれることがあります。定番なら「カブトムシ」とか「スズムシ」がおすすめですが、「アゲハチョウ」の幼虫を育てるのはいかがでしょうか?

 「アゲハチョウ」は幼虫から蛹(さなぎ)になって、最後に蝶に変わるので、それを観察するのは楽しいものです。特に、蛹(さなぎ)から脱皮して、蝶に変わる瞬間を観察できると、とっても感動的です。育てかたは以下を参考にしてください。


1)準備するもの:「ミカンの鉢植え」「園芸用のネット」

 「アゲハチョウ」の幼虫はミカンの木か、キンカン、カラタチなどの柑橘系の葉について育ちます。「キアゲハ」の場合はパセリかニンジンの葉につきます。育てる場合は、まずはエサになる鉢植えを用意しましょう。「アゲハチョウ」ならミカンの鉢植えを用意します。

 鉢植えは、できればやや大きめのものを用意しましょう。幼虫はかなりの食いしん坊なので、小さい鉢植えですと葉を全部食べてしまいますので注意してください。それと、鉢植えは農薬が使われていないものを用意してください。農薬が使われている鉢植えにすると、幼虫はすぐに死んでしまいますので、注意してください。

 同時に鉢植えがすっぽりと覆えるようなネットも用意してください。鉢植えの上からネットで覆うと、幼虫が鳥などに食べられるのを防ぎます。


アゲハチョウの育て方

2)幼虫を探す

 次に「アゲハチョウ」もしくは「キアゲハ」の幼虫を探しましょう。近所にミカンの木があれば、若い葉を探せば見つけられます。「アゲハチョウ」の幼虫は鳥のフンのような色をしています。

 幼虫を見つけたら、その幼虫のついた葉を持ち帰って、ミカンの鉢植えに移します。持ち帰った葉は、園芸用のテープ(植物結束用のテープ)で葉の根元をミカンの鉢植えにくっつければ、あとは幼虫が自然に移動します。幼虫は2〜3匹くらいを持ち帰りましょう。鉢植えは庭やベランダなどの日当りのいい場所に置き、その上からネットをかぶせて、毎日もしくは数日置きに観察をしてください。


アゲハチョウの幼虫

3)幼虫を観察する〜「幼虫から蛹(さなぎ)になるまで」

 毎日、幼虫を観察しましょう。「アゲハチョウ」の幼虫(1齢〜4齢)は鳥のフンのような姿をしていますが、5齢になると、きれいな緑色の(新幹線のような形をした)幼虫になります。この5齢の幼虫の黒い目玉のような部分は、実は目ではなく「眼状紋」と呼ばれる模様です。幼虫を葉などで軽くつつくと、つの(臭角)を出して怒ります。その際に柑橘系の強いニオイを出しますが、毒性はありませんので心配ありません。


4)幼虫を観察する〜「蛹(さなぎ)から蝶になるまで」

 (5 齢の)幼虫は、そのうちにあまり動かなくなり「蛹(さなぎ)」になります。蛹になると動きませんので、そのまま定期的に観察をしてください。ただし、蛹の時に直接手でさわるのは避けましょう。一見動かないように見えても、蛹の中では蝶になるための大変化が体の中で起きています。

 蛹(さなぎ)になってから10日〜 2週間くらいで、蛹を破って蝶に変わります(羽化)。蛹から出たときには、蝶の羽は縮れた状態で、時間をかけて羽を乾かして蝶の形に変わります。この間は蝶は動きませんので、じっくりと観察できます。蝶がゆっくり羽ばたきを始めたら、飛ぶための準備中のシグナルなので、ネットをはずして逃がしてあげましよう。

 アゲハ蝶の羽化の瞬間は、必ずしも毎回観察できるとは限りませんが、蛹(さなぎ)になってから2週間前後のあたりで、毎日こまめに観察していると羽化の瞬間に立ち会えることがあります。それと、羽化した蝶は家で飼うのは難しいので、そのまま外に逃がしてあげてください。


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(2013.7.5)

IPM研究室