職人集団マルサの男たちの研究
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| 査察部の内偵調査を描いた 「マルサの視界」(法令出版) |
国税庁は、全国を12のブロック(札幌から熊本までの11の国税局と沖縄国税事務所)に分け、税に関する行政事務を管理・監督しています。各ブロックには、普通の税務署では扱えない悪質な脱税事案の調査を行う査察部という部隊が存在しています。この部隊が、映画やテレビで有名になった「マルサ」という組織です。私は東京国税局のマルサに17年間所属していました。
マルサの仕事は、職人技ともいえる尾行術や尋問術などが要求される厳しく地味なものです。プライベートな時間もとれず、過酷すぎる勤務ゆえに査察部ではなく屠殺部などと自嘲するほどです。近年、このマルサを志願する若手職員が少なく、大変憂慮しています。査察部の内偵調査を描いた「マルサの視界」(法令出版)という本を著したのは、後輩たちにマルサの魅力や職人技を少しでも伝えられたらと思ってのことです。
マルサは大きく二つの作業班で構成されています。内偵調査班(隠語で「ナサケ」)は、脱税の情報収集や尾行などを担当し、実施班(隠語で「ミ」)は実際に強制調査をしたり、尋問などを行ったりしています。これら2つの班の仕事はまったく性質が異なり、各々高度な専門性が要求されます。1人前になるには5年近くかかるため、両班の間での異動はなく、最初に配属された班でキャリアを積んでいくことになります。
内偵調査班は、半年から1年かけて脱税の有無を調査していきます。脱税の事実が濃厚となると、裁判官から強制調査令状をとり、事案を実施班に引き継ぐことになります。実施班としては検察に告発できるような事案を受け取りたいので、引継ぎの時には両班の間で喧々諤々の議論となります。その昔は、不正蓄財した資金(隠語で「タマリ」)が見つからなかったりすると、両班の担当者同士で殴り合いが起こることもありました。
いま全国では、1300人の査察官が活動しています。毎年、200件程度の強制調査が行われ、そのうち150件程度が悪質なケースとして検察庁に告発されています。きちんと税を納めている大多数の人々のためにも、脱税犯は絶対に許さずという信念を持って、夜討ち朝駆けの過酷な勤務をしている公務員もいるということをぜひ知っていただければと思います。
| ――以下参考用に9月の月例会の御案内の内容を掲載しています―― 【9月・月例会のお知らせ】 「マルサの知られざる活動」 「フジサンケイ広報フォーラム」の9月・月例会は、元東京国税局査察官の上田二郎氏を講師にお招きし、「マルサの知られざる活動」をテーマにお話をいただきます。 マルサ(国税局査察部)の活動は、映画、テレビドラマなどで数多く取り上げられています。しかし、マルサについての情報開示はほとんどなく、その活動実態は依然としてベールに包まれており、映画やドラマでも真の姿には迫っていないといわれています。 講師の上田氏は、17年間にわたりマルサに勤務し、数々の内偵調査に従事してきました。このたび、「マルサの視界」(法令出版刊)を出版し、マルサの知られざる内幕を明らかにしました。上田氏には、マルサの内偵調査の実例にそった「ほんとうの話」や、マルサの内幕を世に問うた理由についてお話いただきます。 スケジュール調整のうえ、関係部署にもお声をかけていただき、ご参加くださいますようご案内申し上げます。 |
| 【日 時】 | 2011年9月28日(水)午後3時〜5時 |
| 【会 場】 |
日本記者クラブ・宴会場 千代田区内幸町2-2-1 日本プレスセンタービル9F Tel.03-3503-2721 |
| 【テーマ・講師】 |
「マルサの知られざる活動」 元東京国税局査察官 上田二郎 氏 |
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