広報ショートコラム
 
第239回 岡ちゃんのリーダーシップへの一考(2010年7月12日更新)

 W杯サッカー南アフリカ大会で、岡田武史監督率いる日本代表がベスト16入りを果たした。前評判を覆しての快挙に、日本人の多くが興奮した。時間帯もあったと思うが、出発を見送ったときは100人に満たないサポーターが、到着で出迎えたときには4000人を超えた。スポーツニュースにはいまも選手たちが登場する。少子高齢化に停滞気味の経済で閉塞感のある日本に元気を与えてくれたと思う。

 その代表チームについて、テレビの情報番組で「岡ちゃんに謝りたいと思うか」を街行く人に調査した。結果はYESが27%、NOが73%。NOと答えた人の理由は「岡田監督を信じていた」「やってくれると思っていた」―。長いものには巻かれろなのか、柔軟性なのか、協調性なのか…。日本人らしさをつい感じてしまった。私は素直に謝りたい。「1勝もできないと思っていました。ごめんなさい!」

 今回の勝因がチーム力、結束力といわれたころから出るだろうなあと思っていたのがリーダー論、組織論などのビジネス論議。期待どおり出てきた。そのなかから『日経ビジネス オンライン』の「上司と部下の力学:“岡ちゃん”になりたがる、ボスのヒンシュク 他人力なくしてチーム力は高まらない」が目をひいた。岡田監督を上司に、選手たちを部下にたとえている。

 岡田監督はもともとリーダーシップをテーマとした講演で人気の講師だったという。「岡田さんは頭がいい」と、企業経営者から褒め言葉を得ていたそうだ。そもそもリーダーシップとは、リーダーとなる資質とリーダーに従うフォロワー(部下)の行動で決まる現象で、フォロワーの質が大きく影響するという。優秀なフォロワーに認められなければ優秀なリーダーにはなれないのだ。

 そして、調査・研究結果として優秀なフォロワーに選ばれるリーダーの条件は3つ。(1)明確なビジョン:フォロワーにとって魅力があり賛同しエネルギーを投入する価値があるもの(2)貢献力:掲げたビジョンにリーダー自身がこだわりエネルギーを注ぎコミットできるか(3)批判力:リーダーの言動や判断への批判や意見、組織が機能するための考えを伝える機会を与え、かつ聞く耳を持っているか。

 部下全員が良きフォロワーになるのはなかなか難しい。結局、リーダーの質に合ったフォロワーがつき、そのフォロワーが組織の標準となったり潤滑油となったりしてチーム力が決まるのだろう。ダイバーシティ(多様性の受容)が叫ばれるなか、単なる軍隊的な規律のみではチーム力、結束力は高められない。そういった視点からみても今回の日本代表の活躍、それまでのプロセスは面白い。


(広報フォーラム事務局 飯岡裕子)
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