広報ショートコラム
 
第234回 理由を知りたい(2010年6月7日更新)

 「かっぱえびせんの『やめられない、とまらない♪』には理由(わけ)があるんですよ」 弊社は、企業や団体の広報部門に向けて情報提供などを手がける会員制組織「広報フォーラム」を主宰している。その会報の取材でカルビーを訪れたときのことだ。
  「エビを丸ごと使ったアミノ酸の旨み。おいしければやめられませんよね」。ここで話が終わっていれば、私が「かっぱえびせん」を求め、コンビニに行くこともなかっただろう。

 「かっぱえびせん」は一口では1本が食べ終わらず、二口か三口が必要。すると1本では物足りない。もうちょっと食べたいと次の手が出る。少し軽めの塩味。飽きるコテコテの味付けにはしない。サクサクという食感と音も「やめられない、とまらない♪」を後押しする。そのサクサク感を出すために、ふくらみを調整する切れ目は10本程度だ。聞いているうちに、昔から食べている懐かしさも重なって確認せずにはいられなくなった。

 このように、理由があるといわれれば、知りたくなる。理由が分からず、じらされると、フラストレーションが溜まる。
 「記者会見を開く理由があるから、私たちを集めたんでしょう?」 5月31日と6月1日の両日にわたり開催した弊社セミナー「本当に強い大学の広報力とは」のプログラムの一つ、リスク案件が起こったさいに開く模擬記者会見での一コマだ。

 現役の社会部記者から厳しい言葉が飛ぶ。「理由」とは、裏返せば「何を伝えたいか」の目的であり、意図。それを態度や言葉ではっきりさせるべきとのアドバイスだ。
 リスク案件の会見を途中で切り上げるのはタブーといわれるが、例えば遺族に謝罪に行く約束があるといった道義的理由ならば理解できると、以前に模擬記者会見の場で記者がコメントしていたことを思い出した。

 さて、先週の6月2日、民主党の両院議員総会で鳩山由紀夫首相が辞意を表明、小沢一郎幹事長もその座を降りることになった。
 前日の1日、小沢氏との2度目の会談を終えた鳩山氏が、「続投ですか?」との記者団の質問に対し、左手の親指を立てて微笑んで見せたことが波紋を呼んだ。このしぐさは「サムアップ」と呼ばれ、承認や同意など前向きな姿勢を示すそうだ。

 その後に、「自分の心を外には一切出さないように努めた」と話した鳩山氏。辞意を隠し、あえて元気だと思わせるためのしぐさだったのか、はたまたダブル辞任に追い込んだ「してやったり」の気持ちを表したのか。結局、その「理由」ははっきりとは明かされていない。この「言わなくても分かるでしょ」は日本人の文化であり、出処進退を決める首相としての最終局面で、宇宙人もこのワザを使ったのかと勝手に理由付けすることにした。


(広報フォーラム事務局 飯岡裕子)
あなたの会社が、何らかのトラブルで記者会見を行わなければいけない...。突然の記者会見対応...。そのときになってから対策を講じていては、間に合いません。いざというときのために、事前に模擬記者会見を体験してはいかがでしょうか。
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