広報ショートコラム
 
第232回 ペナルティーをプラスに変える(2010年5月24日更新)

 「18ホール58打」を記録して優勝した石川遼選手や、メキシコの大会で見事優勝し、英語で喜びを語った宮里藍選手など、プロゴルフ界で若いプレーヤーの活躍が目立っている。また、チャリティプロアマゴルフ大会で青木功選手が自身3度目となる、自分の年齢以下のスコア(66)で回るエージシュートを達成した。石川、青木両選手が握手するシーンを見て、ゴルフは10代から高齢者までが平等に楽しめる代表的なスポーツだと改めて感じた。

 一方、ゴルフをめぐっては、女子プロの三塚(みつか)優子選手が遅延プレーで科せられた2打罰を不服として抗議し、棄権した問題が波紋を呼んだ。ふてくされ顔でゴルフ場を後にした翌日、一転して憔悴しきった表情で関係者に謝罪する三塚選手の姿を見た。ルールとマナーを守ることが重視されるゴルフ。途中棄権の代償は重い。2カ月間の出場自粛と罰金200万円、今後2年間の新人セミナー受講などが義務づけられた。

 誰でもムシの居所が悪いときはある。ひと月前に父親を亡くし、集中力が続かない精神状態だったのかもしれない。しかし、言い訳がきかないのがプロの世界だ。ファン、スポンサー、同じ組でプレーした選手、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)に迷惑をかけたことは事実である。気の毒だが同情はできない。真摯な態度で処分・罰則を受け入れて、自分自身を見つめ直すいいチャンスだと思うべきだ。

 「協会の会員である以上、ルールを守れないならやめなさい」と、樋口久子LPGA会長は、トップとしてそう発言した。最近のスポーツ団体、とくに朝青龍関の処分問題で世論とはかけ離れた「うやむや」や「甘い」処分をしてきた日本相撲協会と違って、樋口会長の言葉は実に小気味よかった。協会の名誉を守るための当然の態度だし、涙で謝罪に訪れた将来ある選手に対する、大先輩としての厳しい説教と受け取れる。

 三塚選手が科せられた新人セミナーは、社会人としてのマナーや選手としての心構えを学ぶ場だ。プロの選手は、多くの人の手本となるよう礼儀や作法、強い精神力を身につける必要があるのではないか。セミナーでは、後輩たちと机を並べるだけに屈辱だろう。しかし、ここはくさらず、素直な態度で講師の話を聞いてほしい。真摯な態度で講義を受けることが三塚選手の器を大きくし、それを見ている人の目も評価に変わってくるはずだ。

 新人向けといえば、弊社は例年通り、7月に「新任広報マン夏期講座」を開催する。広報の基礎が学べるプログラムだ。「新任向け」とはいえ、内容は侮れない。私自身、講師の話を聞くことによって、「初心にかえる」「原点に戻る」という気持ちになることはしばしばである。25歳の三塚選手は、社会ではまだ新人の部類。今回のペナティーがいつの日か、「経験してよかった」と思える日が絶対にくることを思っている。
(広報フォーラム事務局 永井久恵)
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