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第229回 文章のカラフル映像力、写真の“饒舌さ”(2010年4月26日更新)
先日、「ケータイ大喜利」というテレビ番組を見ながら、大笑いした。お題は「上司に気に入られることばかり考えている新入社員『タイコモチオ』ってどんな人?」。視聴者から寄せられた回答で私が一番面白いと思ったのは、「『さ』の予測変換は『さすが』『様』『最高』」。もみ手で調子のよさそうな男子が打つ携帯画面…、そんな映像がはっきりと想像できたからだ。「さすがですね〜」「そりゃ最高ですわ!」―合いの手も聞こえてくる。
番組を見ながら、企業で社内報を担当していたころ、「すごくいいから読んでみて」とメールの転送を受けたことを思い出した。内容は子育て日記。その企業のマッサージルームで働く全盲の女性が書いたものだ。ダンナ様も弱視で二人とも先天性疾患のため、悩んだ末に出産を決めた。ときに必要な手を借りながら、親として成長していく様子を明るく描いた文章を読んでいると、カラフルな映像を見ているような気分になった。
彼女は赤ちゃんの健康状態をウンチの色ではなく、においで確認する。ミルクはOK、ほうれん草はダメ。失明したのは17歳のころ。空の青も雲の白もバラの赤も覚えているという。そこで、日記には五感のうち視覚を除く四感で認識したことを身近な色のあるものに例えて記す。「頭の中はカラー映像だから文章にしても色がつくのかなあ」と彼女は笑った。社内報に連載した日記はプロの目に留まり、講談社から1冊の本として出版された。
逆に1枚の写真から文章が感じられるものもある。いまでも印象深いのは昨年の衆院解散のとき、SANKEI EXPRESSに掲載された1面から終面につながる1枚だ。議場で1人の議員が挙げたこぶしだけを写した。まっさらにした土地をいま一度耕し直す、そんな決意を感じさせた。いい写真の条件は多々あるだろう。その一つに、表現した内容以上の“饒舌さ”で見る者の想像力をかき立てることが挙げられると思う。
先週19日、当社でデジタルカメラのセミナーを開いた。参加者もカメラ持参で撮影する人気の講座だ。産経新聞写真報道局の斎藤良雄デスクが、プロのワザのなかから一般の人でもすぐに使えるキーワードを紹介。最後に、参加者が撮った写真をプロジェクターで写し講評する。聞きながら残したい光景をどう切り取っているかに注目した。すると、フレームワークはセンスと思っていたが、必ずしもそうではないことが分かってきた。
「撮影する彼女のさわやかさをアピールしたい」、「気難しそうに見えるが、実はシャイでお茶目な人柄を表現したい」−。作品が撮り手の込めた意図を話し出してくるような感覚をおぼえる。動き出すような文章もある。報告文は苦手だが、主張や身近な出来事になると別人のようにイキイキとした文章を書く先輩がいた。分かりやすい文章やきれいな写真もいいが、五感を刺激する表現ができるようになりたいと思う。
(広報フォーラム事務局 飯岡裕子)
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