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第224回 「場」のあり方 オモテとウラ (2010年3月19日更新)
ある企業が、ライフスタイルや製品について語り合う自社のコミュニティーサイト(ファンサイト)で、商品開発についてユーザーの意見を募集するサークルを立ち上げた。そこに出てきた意見を取り入れた商品は、ユーザーの絶大な支持を受け大ヒットした。そんな事例を、3月9日に開いた弊社のセミナー「インターネット広報基礎講座(情報発信・PR編)」でご紹介いただいた。
このヒットのキーワードは「参加意識」。面白いことに、参加者は、この商品に自分の意見が採用されたかどうかを気にせず、サークルに意見を述べただけで満足するそうだ。また、サークルに書き込んだ経験のある人だけでなく、その書き込みを常に見ているだけの人も、その商品や会社のファン度を高めるようになるという。ユーザーが参加しているのは「商品開発」ではなく、「場」なのだ。
その講演を聴いているうち、オフィス用品の通販ビジネスの立ち上げに参加した方が「お客様の声を聞くことで売り上げが飛躍的に伸びていった」と話していたことを思い出した。その人は会社の発展とともに広報を担当、重要なお客様として記者の声もよく聞くようになったそうだ。広報初心者のころ、記者にプレスリリースの書き方を教えてもらったり、ホームページ用の文章を添削してもらったりしたこともあった。
私も難しい用語が並ぶ情報システム案件でホームページ用の文章が書けず、ちょうど取材を受けていた記者から「ボクが先に新聞記事を書くから、それをまとめて書けば」と教えてもらったことがあると話した。「それ、ある、ある」。似たような経験は共感を呼ぶ。まるで昔から知っていたように「場」が盛り上がり、打ち解けた。いま、その人は記者がリリースのどこに興味があるのかを熱心に聞き込み、次の仕事につなげているという。
さて、情報発信・PR編から1週間後の16日、リスク編のセミナーを開催した。掲示板で事実でない悪意のある書き込みなどをどう沈静化させていくかが一つのテーマだった。「言論には言論で対抗せず、冷静に法的手段に訴えることも必要」、「自社掲示板であれば、追加の書き込みが行われないよう、うまく閉じる」―。打って変わって「場」を与えない手法をご教示いただいた。
活性化させるには「場」をつくり、沈静化させるには「場」を与えない。その見事な切り換えに面白さを感じた。テレビの記者会見も、長く中継してもらうためには動きを、短く切り上げてもらうためには動かず淡々と、といった逆になる手法が効くと聞いたことがある。オモテをひっくり返せばウラが、ウラをひっくり返せばオモテが出る。「場」のあり方のオモテとウラを意識した数日間だった。
(広報フォーラム事務局 飯岡裕子)
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