広報ショートコラム
 
第214回 『永谷園』(2010年1月19日更新)

 永谷園広報室のVさんが今月末で、営業部門に異動になる。思い起こせばVさんが、弊社が毎年7月に開催している「新任広報マン夏期講座」に参加したのは5年前だ。毎週1回、水曜日の午後に開催し、全5週で終了するそのセミナーの第1回目に現れたときは、まったく分からない世界に突然ほうり込まれて何をどうしたらいいのだろう、そんな思いが顔に表れていた。それだけに、前列で講師の話を聞くVさんの目は真剣だった。

 毎週、「広報の基本」「ニュースリリースの書き方」「読まれる社内報の作り方」」「緊急時の広報」といったテーマを決めてセミナーを開催。最終週は、「テレビ報道と広報」をテーマに、講師はフジテレビの報道と生活情報番組の責任者にお願いした。その後、局内のレストランでセミナー終了の打ち上げを催した。参加メンバーそれぞれが5週にわたる研修を無事に終え、ひとつの達成感からか、だれもが笑顔で5週間の思い出話に花が咲いた。

 そのときのVさんの姿を追った。当日の講師としっかり情報交換している。新任広報マンの場合とかく気後れしてしまうのか、私たち事務局がきっかけを作らない限り講師とはあまり話をしない。参加者同士での会話がメーンとなる。しかし、Vさんは普段疑問に思っていることを知ったかぶりをするわけでなく自分の言葉で話をし、講師もその質問に分かりやすく答えていた。講師も素朴な質問に、逆に気がつかされたこともあったと思う。

 この人は良い広報マンになると思った。案の定、1年、2年と年を重ね、会うたびに、Vさんは広報マンになりきっていた。「昨日、広告の打ち合わせで産経新聞さんにうかがいました。終わったころ、ちょうど大阪の夕刊締め切り時間も過ぎていたので、先月の講師のZさんに連絡させていただいたところ席にいらして、それから近くの喫茶店でコーヒーを飲みながら情報交換させていただきました」。タイミングもすっかり心得ている様子だった。

 Vさんが異動の内示を受けたのは昨年12月。広報マンとして、社内はもちろんのこと社外からも頼りにされていただけに、周りも驚き、Vさん自身も広報部門を離れることは頭の隅にもなく、まさに青天の霹靂だったようだ。しかし、何事にも前向きなVさん。弊社が主催する会員制の勉強会、12月例会には当初、欠席だったが、「皆さんにお世話になったお礼を申し上げたかったので、予定を変更して出席させていただきました」と、30分遅れで会場に現れた。

 12月例会は毎年、忘年会を兼ねた懇親会も開いている。懇親会の会場では、あちこちでVさんを囲む思い出話が続いた。新しい会員で初めてその場でVさんと出合った人もいて、思わぬ出会いに感激していた。その後、Vさんの送別会というよりも再会を約束しての二次会の話がだれからともなく出され、その日は午後11時過ぎに解散となった。今月末には赴任地に旅立つVさん。広報のときのようなひたむきさで頑張っていただきたい。
 

(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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