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第213回 『ウエストサイドストーリー(ニューヨーク紀行−その2)』(2010年1月15日更新)
ニューヨークへ行くと必ず会う日本人の女性がいる。こう書いただけで、どんなキャリアウーマンで、たくましい女性なんだろうと思われる方も多いかも知れない。しかし想像に反して、大学受験を控えた1人息子のお母さんで、仕事の関係で一足早く日本に帰国したご主人に代わり、家計の切り盛りをしている、ごく普通の女性である。普通というよりも、ニューヨークなどで暮らしていけるのだろうかと思わせるほどきゃしゃでおとなしい人だ。
私が産経新聞グループのマーケティング会社にいたころ、4人の仲の良かった女性のうちの1人で、3人からは「お姫さま」と呼ばれていた。その彼女が結婚して、ご主人の仕事の関係で2年間ドイツへ行き、帰国して息子さんが小学校3年生のときに今度はニューヨークへ行った。かれこれ8年になる。息子さんのお友達のイギリスやインド、中国人のお母さん方とのコミューケーションも上手く図っているようだ。
「日本人同士だって、分かり合えない人っているでしょ。それを考えたら、いまはそれぞれがニューヨークで一時期を暮らしているという共通のテーマがあって、教育のことなどで多少意見が食い違っても、そういう見方もあるんだと逆に勉強させてもらっている」ときっぱり語る。アパートメントにいる彼女の2倍はあると思われる黒人のドアマンとも仲がよく、日本通の彼に時々、日本語を教えているらしい。
私が滞在中、ミュージカルを一緒に見に行った。彼女はミュージカルにあまり関心がなかったが「なぜ、ヒロ子さんがミュージカルを観たいというのかよく分かったわ。目の前の迫力ある歌とダンスはこちらが元気づけられる」と開眼したようだ。毎回、彼女がネットでチケットを予約してくれるので、私は「TKTS(ティケッツ)」で当日の割引券を買うのに並ぶ必要はなくなった。午後3時からの発売1時間前から並ぶのも、1つのイベントではあったが。
今回見たのは「ウエストサイドストーリー」。1950年代のニューヨークのスラム街。敵対する不良グループの抗争と、犠牲になる若い男女の2日間の恋と死を描いた有名なミュージカルだ。私はストーリーを知っていたが、これまで映画でも見たことがなく、上演前からドキドキしていたが、見るに十二分な迫力ある内容だった。「トゥナイト」や「クール」はいまも耳から離れない。スタンディングオベーションもニューヨークならではの光景だ。
ニューヨークには私たちに力をくれる何かがある。これまで十数回行っているが毎回、そう感じる。それは人を尊重してくれるところからだと思う。だからこちらも一生懸命頑張ろうという気になる。私がニューヨークを経つ前の晩、「息子がこちらの大学に入ったら、全寮制だから私は帰国するつもりだったけど、もう少しニューヨークで暮らしてみようと思っているのよ」。そう言う友人の言葉が何よりもそれを表しているような気がする。
(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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