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第211回 『裏切り』(2009年12月19日更新)
テレビのサスペンスドラマのようなおだやかならぬタイトルだが、先週、こんなことがあった。各社広報部の現役、OB約20人が集まり忘年会を兼ねた情報交換会を開いた。広報を離れて3年、この不況時に営業部門で先頭に立って売上に貢献している食品メーカーの元広報課長も出席していた。「広報時代の人間関係づくりが、いまの仕事で生きています」と語る。話をしていてこちらも元気になる。
機械メーカーの広報部長代理Zさんの顔はなんだかさえない。笑顔だが、心から笑っていない。最近の業界の動きなどについて説明を聞いているうちに、人付き合いの話になり、突然「私はこれまでずっと人から裏切られてきました」と語りだした。おだやかではない。人間大好きの私はこれまで、人を裏切ったとか、人から裏切られたという経験はない。私は能天気なのだろうか、とさえ思われるほど衝撃は大きかった。
どういう風に裏切られたのだろう。それとなく聞いてみた。「いやぁ、ある時期から部下が私の言うことを聞かなくなりましてね。ショックでした」と語り始めた。そして「上司からは、私の異動の打診がありました。広報の仕事が好きだったので、続けさせてもらうように頼みました」というわけだ。その上司が「彼は思い込みが激しい。人の話を受け入れようとしない。だから仕事に幅が出てこない。もう少し余裕があるといいんだけどね」と語っていたのを思い出した。
思い込みの激しい人は、自分の考えが正しいと思っているから、他人の意見を聞かない。すると人間関係にも摩擦が生じ、人は自然と遠のいてしまうのかもしれない。それが裏切られたということになるのだろうか。組織はいろいろな能力、性格を持つ人々の集団である。自分の思うようにならないことは沢山ある。そういうときは「今回は、貴方の案を採用してみようね」という後輩、時には先輩を思いやる心の広さが必要に思う。
ついで、週末に多くの記者仲間から慕われつつ亡くなった全国紙の元編集局長だったCさんの七回忌が行われた。「私の駆け出し記者のころ、Cさんによく怒られたものだよ。何度、原稿の書き直しをさせられたか。でも、その叱咤激励があったからこそ、今日の私があると思う」と語っていた、その社の大幹部の話がいまも耳から離れない。Cさんは自分のことより、まず人のことを先に考える人、私はそんな印象をもっていた。
「大きな人だった」と語った人もいる。そして「身長は180cm以上あって体格がいい。でも、そういう意味じゃないよ。他人をフワッと受け入れてくれるんだよね」と付け加える。だから、相手もCさんが多少強引でわがままなことを言ってもフワッと受け入れてしまう。人間関係ってそんなもの、先週1週間、改めて人間関係についていろいろなことを考えさせられた。
(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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