広報ショートコラム
 
第204回 『佐川美術館』(2009年10月28日更新)

 今月初め、出張で滋賀県栗東(りっとう)市へ行った。最寄り駅は、JR東海道本線の草津駅だ。某紙大津支局長の話によると、駅周辺は京都や大阪へ通勤するサラリーマンのベッドタウンになっているらしい。京都へは快速で20分前後、大阪へは50分前後で行け「琵琶湖近くの、のどかな風景が心をいやしてくれます」という。知り合いが相次いでマンションや戸建を購入したそうだ。

 その草津駅の隣・守山駅からバスで約25分、琵琶湖湖畔近くに佐川美術館がある。1998年、佐川急便創業40周年を記念して開館したものだ。館内は日本画家の平山郁夫氏と、彫刻家の佐藤忠良氏の両巨匠の作品を中心に展示してあり、07年には、十五代樂吉左衞門の陶芸を展示する「樂吉左衞門館」が敷地内に新設された。日本画、彫刻、工芸と3つの柱をたずさえた例を見ない美術館だ。

 佐川急便広報部から美術館オープンのニュースリリースを受け取った当初、正直言って、行くまでに時間がかかりそうだし、人が集まるのだろうかと思ったものだ。広報部も「いろいろな方に見学に来ていただけるといいのですが」と不安げだった。しかし、先日送られてきた美術館のPR誌「うつろひ」(季刊、A5判、32頁)を見て、そんな心配はまったくいらなかったことに気付いた。

 PR誌は、前半は平山郁夫館、佐藤忠良館、樂吉左衞門館の作品がそれぞれ数点紹介され、後半は、数ヶ月間に開催されたイベントの報告や、今後予定しているイベントを紹介している。その1つ、6月20日から8月30日まで開催された「こどもの本と歩んだ60年 太田大八とえほんの仲間たち展」の、展覧会初日の記念鼎談(ていだん)を多くの人が聞き入る模様が紹介されていた。

 太田大八氏と、絵本作家の和歌山静子氏、「こどもの本WAVE」代表の穂積保氏による鼎談を熱心に聞いている姿を写真で見ていると、機会があったらぜひ、会場に行ってみたいという気さえしてくる。子供たちを対象としたイベント「紙コップで王様を作ろう」や、大人向けのピアノコンサートも、会場は満席だ。佐川美術館にはいま、常に人が集まってくるようだ。心配は、はずれた。

 そこにはスタッフの並々ならぬ努力があったものと思う。いかに人集めをするか。単純だが「行ってみたい」と思われるような箱物にしなくてはならない。交通の便しかり、作品しかり、スタッフの対応しかりだが、1つだけすぐれていても人は集まらない。「あそこに行けば落ち着く」「1日中でも過ごしていたい」−そんな思いを持ってもらえるようになれば成功ではないだろうか。
 

(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
あなたの会社が、何らかのトラブルで記者会見を行わなければいけない...。突然の記者会見対応...。そのときになってから対策を講じていては、間に合いません。いざというときのために、事前に模擬記者会見を体験してはいかがでしょうか。
いままでのコラムを見る
フジサンケイ広報フォーラムとは?
BACK Copyright(C) FCG RESERCH INSTITUTE
詳しくはこちら 記者会見から迫真の会見体験まで 危機管理メディアトレーニング 広報コラム