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第201回 『逃げ道をつくってあげる』(2009年10月13日更新)
この1カ月の間に、某新聞社の大先輩2人が90歳と88歳で亡くなった。お2人ともたいへんお元気で、ご家族の話によると、年内の会合予定を手帳にきちんとメモし、なんと検査入院の手続きや準備、入院まですべて自分1人で行っていたという。ただ、高齢だけに、風邪をこじらせ肺炎となり、体力がついていかなかったようだ。少しでも長生きしていただきたかったが、残念だ。
大先輩のお1人は、元上司だが、もうお一方とは仕事のうえで接点はなかった。しかし、「○○さんの出版祝いの会」など社内のさまざまな会合の事務局として、私が参加メンバーや会場との連絡役を引き受けたりしているうちに親しく声をかけていただくようになった。いまでは定期的に開催されている十数人のお酒の席にも呼んでいただき、私もその会を楽しみにしていた。
不思議なもので、体調が悪かったり、仕事につまづいていたりするときは、表情を見ただけで分かるらしい。「どうしたの、調子悪そうだね」「仕事はどう?」と、よく2人から声をかけられた。そのひと言で、頑張らなくてはと思ったものだ。年齢からくるものなのだろうか。人をほっとさせる、暖かさがある。歳を重ねるということはそういうことなのだろう。お手本にしたいと思う。
葬儀の式場に行くまで、お2人がお酒の席などで周りの人たちによく語っていた言葉を思い出したので、記してみたい。
- 「人を叱るときは、逃げ道をつくってあげないとダメだよ。追い込んでしまっては、立ち上がることができなくなる」
- 「身内の介護は五分五分で、自分自身の楽しみの時間をつくっておかないと滅入ってしまう。楽しんでこそ、親身になって介護できるものだ」
- 「長く勤務していれば意に反した部署に配属されることもある。その時は、徹底して映画を観たり、本を読んだりするといい。後で必ず役に立つよ」
- 「後輩を注意するときは、まず褒めてあげることが大事。それから注意すべきことはきちんと伝えることだね」
- 「人に世話になったら必ずお返しをすること。それは、品物を贈ることではない。何を贈るかは、本人が一番知っていることだ」
類似した言葉は、本などにときどき出てくると思う。しかし、山あり谷ありの人生を生きてきた大先輩から直接聞くと非常に重みがある。こうした言葉を聞く機会があった私は幸せ者だと思う。2人の大先輩に教えられ、励まされたことのお礼のお返しは、私が後輩たちにそれを伝えていくことだと思う。そんな姿をこれまで通り、見守ってくれていたらと願うばかりだ。
(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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