広報ショートコラム
 
第185回 『中央大学』(2009年7月9日更新)

 取材で中央大学多摩キャンパスに行った。最寄り駅は、多摩都市モノレール線の中央大学・明星大学駅。同線は、東大和市の上北台駅と多摩センター駅を結んでおり、2000年に全線開通した。多摩センター駅は、小田急と京王電鉄の多摩センター駅と直接の接続はしていないが、徒歩2分程度だ。沿線には、まだ多くの田園や山林が残っており、モノレールの高架からの眺めは最高だ。

 しかし、都心から同大学に行くには相当時間がかかる。午前10時のアポイントに間に合うよう、品川区の天王洲アイルの会社を出たのは8時10分。りんかい線で新宿駅へ、中央線に乗り換え立川駅に着いたのは9時20分ごろだった。モノレールの立川南駅まで徒歩で約10分。約10分間隔で発車するモノレールを1台見送ったこともあって、同大学に着いたのは10時5分だった。

 多摩キャンパスには、法、経済、商、文、総合政策の5学部があり、約2万人の学生が学んでいる。理工学部の約4200人だけが、都心の後楽園キャンパスだ。多摩キャンパスは、駅改札口を出て右手に向かうと、そこはもう校舎に続くゆるやかなスロープになっている。樹木が茂るなか、白い校舎がくっきりと浮かび上がっている。「学びの舎」にきたという感じだ。

 広報部のある2号館の場所がよく分からない。通りかかった男子学生に聞いたが、事務棟だけによく知らなかったようだ。しかし、「右手の建物が1号館なんです。あっ、ありました。この道をまっすぐ行って左手です。すみませんでした」と、恐縮しながら説明してくれた。素直で学生らしくていい。企業にもいえることだが、こういうところに品格が表れてくる。

 一時、多くの大学がキャンパスを都心から郊外に移転した。しかし、「田舎はいやだ」と受験生に不評だった。結果として、学生が集まらないとして、その多くが「都心回帰」した。だが、「郊外移転」の先鞭をつけた中央大学は、姿勢を変えなかった。「周辺には娯楽施設や飲食街はないが、学生にはこういう環境で学んでほしい。健全な精神もこういうところから生まれてくるものと思います」と広報責任者は語っていた。

 いま、企業はじめ自治体、大学、病院が大揺れに揺れている。大上段に構えるわけではないが、それは、軸足が固まっていないからではないかと思う。「迷ったときは、創業の精神にかえることが大事」と、企業の広報部長から話を聞く。今回、中央大学の揺るぎない考え方を直接うかがって、企業や他校に、そして私たち一人ひとりが少しでもその精神を見習っていきたいと感じた。
 

(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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