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第176回 『その、ひと言がほしい』(2009年6月8日更新)
読売新聞の毎週火曜日の夕刊に、「たしなみ」というエッセイ欄がある。その中の「いま風 火曜日」コーナーは毎回、作家や歌人などが日ごろのマナーや教訓について、「そうそう」と共感を呼ぶ文章を書いていておもしろい。6月2日付夕刊ではエッセイストの酒井順子さんが、「仕事発注のマナー」として、「ひと言でも感想を言うことが、発注側のマナーでは」と書いていた。
その記事を読んだ方も多いと思うが、簡単に概要を紹介したい。1つは期日について。発注者が、金曜日に仕事を発注して「仕上がりは月曜日で」と受注者にいえば「土日は働け」ということになる。このとき、「土日にかかってしまって本当に申し訳ないのですが」というひと言があったら、受注者としてはずいぶん、仕事をする時の気分が違うことでしょう、と結んでいる。
その通りだ。私は、原稿を発注する立場だが、原稿を依頼されることもある。依頼するときには、確かに「締切りまであまり時間がなくて申し訳ないのですが―」と前置きして、原稿の趣旨を話す。だが、依頼されたときには、締切りまで1週間しかないのに、「急で申し訳ないのですが」とか「無理をお願いして」という言葉はない。物書きではない私には、締切りまで1週間はきつい。
2つ目は、仕事が終わったときの発注側の感想について触れている。出来上がった商品や企画を納めたとき、その仕事に対してひと言であっても感想を言うことが、発注側の最低限のマナーではないかという。受注側のツボをつくような感想を言ってくれた人には、「この人のために次も頑張ろうと思う」というわけだ。酒井さんは受注者を代表して「よくぞ言ってくれた」という感じだ。
私の場合はどうだっただろうか。原稿を受け取り「確かにいただきました。ありがとうございました」とはメールで伝えるものの、感想までは…といったところだ。次回からぜひ実践しよう。私が書いた原稿、講演した内容はどうだろ。原稿は、出稿してすぐの感想よりも、読者の反響を知らせていただくケースが多い。講演は、その場の反応を直接、肌で感じられる。
相手を気づかい、思いやる「その、ひと言」は、仕事を発注、受注する際の重要なポイントだ。締め切り時間に追われる記者へ連絡する際は、「いま、2、3分、よろしいでしょうか」という断りは欠かせない。支局から本社に戻ってきた記者からの連絡に「久しぶりにお電話をいただいて嬉しかったです」というひと言は、意外と仕事をスムースにさせる要素といえる。
(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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