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第173回 『触れ合いは財産』(2009年5月28日更新)
オフィスビルにはさまざまな人が働いている。入居している企業のサラリーマン、OLから、ビル管理会社所属の受付のお嬢さん、ガードマン、清掃担当、食堂スタッフなどだ。私はときどき、早朝出社や深夜退社したり、土・日も出社したりすることもあるため、その時間に働いているガードマンや清掃担当の方々との接点が多い。いまではその触れ合いが、私の貴重な財産となっている。
最初は「おはようございます」「お先に」という挨拶だけだったが、そのうち、
「どちらから通っていらっしゃるのですか」「お昼の休憩時間は決まっているのですか」などという会話になった。「会社から7、8分のところに、美味しいお蕎麦屋さんがあるのよ」という情報から、「今度、お昼をご一緒に」ということになった。働く世界が違うと視点も変わり、勉強になることが多々ある。
弊社のあるビルの清掃を担当する女性・Aさんは、朝、私が給湯室でポットにお湯を入れているうちに言葉を交わすようになった。「いつも早いわね」「目黒に住んでいて近いので」という会話から、Aさんの実家が港区白金と分かった。天皇皇后陛下がご成婚された50年前、小学生のAさんは、皇后陛下のご実家の五反田の池田山まで提灯行列をしたそうだ。心がなごむ話だ。
ビルの管理を担当しているBさんは元洋服屋さん。紳士、婦人物スーツなどを自分で縫っていたそうだ。しかし、年齢とともに目が悪くなり、縫製が不自由になってきた。そのため転職し、いまは管理の仕事が楽しくてしょうがないらしい。「皆さんのファッションを見ていると、この方は良い生地のスーツを着ているというのが分かります。それも楽しみの一つかもしれない」と笑う。
受付のCさんとは毎朝、りんかい線のほぼ同じ車両で顔を合わせ、話をするようになった。旅行が大好きで、時間を作っては国内外によく出かけている。「今度、旅の情報交換をしましょう」と、半年前、職場近くのファーストフードでお昼を一緒に食べて以来、時々、食事をともにしている。さまざまな資格試験にもチャレンジし、前向きな彼女から、いつも元気をもらっている。
日常のさり気ないきっかけから職種の違う人たちとの触れ合いが広がっている。それぞれが楽しいこと、辛いことを抱えながら仕事をしているのだと思うが、会社が違うとそういう会話にはならない。季節の移り変わりや故郷の話、食事や映画、旅行、ファッションなどの話題になる。だからこそ、ときどきの会話が目一杯楽しめるのかもしれない。そこに新しい発見や驚きがあり、楽しくてたまらない。
(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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