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第169回 「『尼門跡寺院の世界』展に尼僧の歴史を学ぶ」(2009年5月14日更新)
新緑の上野公園の一角、東京藝術大学大学美術館で特別展「尼門跡寺院の世界」が開催されている。主催は、東京藝術大学、中世日本研究所、産経新聞社。各社の広報担当の方に観覧をお薦めしたこともあり、GWの最終日に出かけた。海外に行ったときは必ず美術館に足を向けるのに、“美術館銀座”の上野公園は数年ぶりだ。国内ではいつでも行けると思うから足が鈍るのが、不思議だ。
大学美術館へは上野駅公園口から徒歩で15分。東京文化会館と国立西洋美術館の間の道を通り抜け、大木の間に点在する国立科学博物館、東京国立博物館、東京都美術館、旧奏楽堂などのたたずまいに海外にいるような錯覚さえしてくる。特別展のポスターが随所に貼られ、駅から最も遠い藝大美術館に迷わず着いた。小雨の中、年配のご夫婦、女性仲間で受付は賑わっていた。
尼門跡(あまもんぜき)とは、皇室や公家など高貴な女性が入寺して営んできた寺院のことで、わが国が世界に誇れる文化遺産となっている。現在、京都と奈良に13寺院が残っており、今回は重要文化財の法華滅罪寺縁起や、皇室ゆかりの品々約180点が展示されている。「そろって展示できるのは、これが今世紀で最後になるでしょう」とある門跡(住職)さまが話されていたという。
展示のテーマは、「信仰」と「御所文化」。信仰コーナーでは、国宝の「天寿国繍張類裂(てんじゅこくしゅうちょうるいぎれ)」(中宮寺蔵)や、初めて寺の境内から出された「十一面観音立像」(法華寺蔵)のご分身(模刻像)、髪をおろした際の髪の毛で書いた「南無観世音髪名号(なむかんぜおんかみみょうごう)(法照寺蔵)など貴重なものばかりが展示されている。
御所文化コーナーでは、茶道や香道の道具、ひな人形や御所人形、美しい絵が描かれたカルタ、門跡お手製の双六(すごろく)など、女性ならではの雅やかな生活が垣間見れる品々が展示され、観るほうも楽しくなってくる。ポスターに印刷された、美しい絵が描かれた丸い紙が、法要の際に尼僧が仏を供養するために散らす蓮の花びらをかたどった「散華(さんげ)」であることも分かった。
主催者の中世日本研究所の所長で、コロンビア大学の名誉教授のバーバラ・ルーシュさんが、「尼門跡寺院が日本でほとんど知られていないのが残念、この機会にぜひ、多くの方にすばらしさを知っていただきたい」(産経新聞から)と語っているが、私もつくづくそう思う。これまでの、多くの展覧会のなかでも特筆すべきものといえるのではないだろうか。期間中、再度、訪ねてみたい。
(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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