広報ショートコラム
 
第162回 『桜前線』(2009年4月16日更新)

 今年は3月下旬が肌寒かったため、東京では開花からほぼ2週間にわたり桜を楽しめた。日本人は、四季折々の富士山と、満開の桜を見ると心がうきうきしてくるから不思議だ。特に桜は、一定期間しか見られないものだけに、いとおしさを感じる。私は毎年、家の近くの目黒花房山の桜の花びらを5、6枚拾って、手帳にはさんでおく。夏ごろまでそのままの状態で結構、楽しめる。

 今週、桜前線は山形や秋田、盛岡、青森など東北地方を北上中だと思う。この時期、桜の開花とともに旅をする人もいる。定年を迎え、比較的時間に余裕のある人かと思ったら、結構、現役でバリバリ働いている人だったりする。「毎年、4月20前後の土・日は秋田県の角館(かくのだて)、GWの前半は北海道松前町に出かけるんだ」という某紙の記者の目は輝やいていた。

 かと思えば、「桜」をキーワードに毎年4月、昼食会を開いている女性の仲間たちがいる。年齢はまちまち、ワーキングウーマンもいれば主婦もいる。幹事役から指定された曜日、時間、場所に、桜を意識したファッション、アクセサリーを身につけ集まる。こういう時しか機会がないと、着物姿で参上する人もいる。メンバーは15、16人。毎年、この会合にかけている人もいる。

 桜グッズを集めるのも楽しい。淡いピンク地に桜の花びらを散らした便箋と封筒などは、いつまでも手元に置いておきたいと思う気持ちの方が強い。4月初め、桜が散りばめられた封筒が届いた。ご主人の転勤でロンドンへ行っていた某社の広報ウーマンから東京に戻ってきたという手紙だった。花吹雪とともに3年ぶりに帰ってきた彼女とは近々会う予定だ。

 京都にある陶器の老舗はこの時期、桜をモチーフにした箸置きや小皿、大皿、茶碗、グラスなどを販売する。関西方面の出張などでタイミングが合えば、四条河原町のそのお店に寄るようにしている。少なくても1点は買い求め、後日、わが家でこれらの食器を使って同じマンションの仲間4,5人が集まり「おしゃべり会」を開く。食器の話から桜、桜前線、旅へと話はつきない。

 桜は日本人1人ひとりに、さまざまなきっかけづくりをしてくれる。桜の花びらが舞う着物て宴会場に現れる女性を、横目で冷ややかに見る人もいる。しかし、こんなとき、「わぁー、きれい」と素直に桜を愛でる気持ちを私は大事にしていきたい。その気持ちこそが、1年1年を前向きに生きていくうえで大切なことなのだと思う。横目で見ているだけの人には何ら発想は生まれてこない。


(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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