広報ショートコラム
 
第157回 『フェデックス航空80便、着陸失敗』(2009年3月30日更新)

 3月23日の月曜日の朝、テレビをつけると、成田空港でフェデラルエクスプレス(フェデックス)社の貨物機が着陸に失敗し、炎上している模様が映し出された。2度もバウンドして横転、炎上する映像は衝撃的だった。貨物機なので乗員は限られているが安否はどうなのか、積荷の数々や、それらの保障はどうなるのだろう−などと考えながら会社に出かけた。

 会社に着いて間もなく、米国人の機長と副操縦士の死亡がTVニュースで伝えられた。焼け焦げた機体が何度も映し出される。飛行機の形をとどめていない。同社の日本あるいはアジア地区の責任者による説明が聞きたい。記者会見はいつ開かれるのだろうと気にしつつ、社外の打ち合わせや取材などで外出した。その後の情報を得たのは夕方だった。

 北太平洋地区担当副社長・氏家正道氏による記者会見が成田空港内で開かれたのは正午近く。会見模様をすべて見たわけではないが、何とも味気ない会見だった。貨物の運送を依頼していた荷主や、滑走路の閉鎖により旅行客や貨物運送に大きな影響を与えたことに対する謝罪の言葉がない。欧米企業は、謝罪は罪を認めたことになると、決して謝らないというが、ここは日本である。

 しかも、会見時間はわずか10分間だったという。英語の会見で、通訳を通しているはずだから、正味は多分、5分ぐらいだろう。そんな短い時間で何を明らかにできるのか。氏家副社長がこの会見で語った言葉は、米国本社のトップを意識したものだったに違いない。会見に集まった新聞、テレビの記者、カメラ、その背後にいる一般のことは一切頭になかったのは歴然としている。

 翌24日に、本社副社長のウィリアム・マーガリーティス氏と氏家副社長は国土交通省を訪れ、事故について「心からお詫びする」と謝罪したという。本社から副社長が到着するまでは、「原因は現時点で調査中。情報が入り次第、会見を開いてお知らせする」を貫ぬき通した氏家副社長。本社の指示がなければ何も言えない、動けない北太平洋地区担当副社長に哀れさを感じざるを得ない。

 15、16年前、フェデックスが日本−アメリカ間に定期便を就航させて間もないころ、ある会合で日本支社の広報責任者と話をしたことがある。「情報発信に大忙しなのでは−」と聞くと、「なにごとも米国本社の了解を取らないと発信できない」と嘆いていた。その体質はいまも変わっていない。今回の事故を契機に、大幅な社内改革に踏み切ってくれるといいのだが。


(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
あなたの会社が、何らかのトラブルで記者会見を行わなければいけない...。突然の記者会見対応...。そのときになってから対策を講じていては、間に合いません。いざというときのために、事前に模擬記者会見を体験してはいかがでしょうか。
いままでのコラムを見る
フジサンケイ広報フォーラムとは?
BACK Copyright(C) FCG RESERCH INSTITUTE
詳しくはこちら 記者会見から迫真の会見体験まで 危機管理メディアトレーニング 広報コラム