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第155回 『だれのためのニュースリリース?』(2009年3月23日更新)
先週、Z大学の広報部からニュースリリースが突然、FAXで送られてきた。
8年前、陸上部で活躍したOB3人が、この4月から母校のスポーツ学部で教鞭をとることになった、その記者会見を3月末に多摩地区の同学部校舎で午後1時から開くので出席いただきたいというものだった。できれば当グループの関係者にも声をかけてもらえるとありがたい−と添えられていた。
リリースを見て驚いた。なぜ遠方の多摩校舎で、なぜ午後1時からなのか。
夕刊の締め切りは1時20分。記者にとって忙しい時間帯だ。都心を離れた多摩まで行くには時間もかかる。Z大学スポーツ学部は確かに多摩校舎だが、世田谷区にも広大なキャンパスがある。時間帯を優先するなら、都心の日本記者クラブなどを利用すればいい。取材する側のことをまったく考えてない。
しかも、その多摩校舎へ行くには最寄り駅からバスを利用するのだが、校舎の住所と電話番号が記されているだけだ。バスの乗り場、所要時間の説明もなければ、地図もついていない。あまりの不親切さに驚き、広報部に電話した。「なぜ多摩で」と聞いたところ、「OB3人が多摩校舎で学んだから」だという。それだけの理由であれば、都心に近い他の校舎でもまったく問題はない。
時間設定については「スポーツ学部を常に取材してくれる記者には、この時間帯で問題はない」という。それなら、親しいスポーツ記者だけを集めて懇談すればいい。しかし、記者には異動がつきもの。いつものスポーツ記者は社会部に異動しているかもしれない。Z大学スポーツ学部は昨年、注目されたかもしれないが、マスコミはZ大学ばかり取材しているわけにはいかない。
地図について触れた。「やはり、付けたほうがいいですかね」という回答には、あきれてモノが言えない。広報部はだれを見て、仕事をしているのだろう。書いてもらうマスコミの都合を何も考えていない。場所が分からなければ、電話してほしいと言わんばかりである。こういう考え方の広報マンがいる大学や、企業は損をする。チャンスを自ら逃がしているとは、このことだ。
広報のイロハをまったく理解していない人たちが、まだ広報にいたことに驚いた。毎年交代する広報担当者向けの教育を徹底していくことも必要なのかもしれない。しかし、である。広報の仕事は、そう特別なことではない。会合の場所を知らない人に、事前に地図を送るのは、プライベートでもやっていることだ。相手の立場になって考えれば、難しいことは何一つない。
(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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