広報ショートコラム
 
第150回 『人はおだてて使う』(2009年3月5日更新)

 先日、A化粧品メーカーの女性広報課長と久しぶりに会った。ご存知のように化粧品メーカーは、シーズンごとに、また年齢別に次々と新商品を開発し、発表している。マスコミへの情報発信は、ニュースリリースの投げ込みもあるが、多くの記者に新商品を実際に手にとって感触を味わってほしいと、記者懇談会も大切にしている。それがA社のファンづくりにもなっている。

 彼女が会話のなかで、記者懇談会の会場側のスタッフの対応について、悩みを漏らしていた。年間の会見、懇談会の回数は数十件になるため、古くから付き合いもあって、突然のトラブル発生などにもきちんとカバーしてくれる会場をメーンに決めているとのことだった。ところが、よくある話だが、会場側スタッフの応対が人によってまったく異なるのに頭を悩ませているのだという。

 具体的に聞いてみた。午前10時30分に懇談会をスタートする場合、受付や、資料配布など会場の設営のため9時には準備に取りかからなければならない。弊社もセミナーの主催が多いので、よく理解できる。しかし、Xさんは「会場の使用時間は9時30分からです」と会議室を使わせてくれない。「早く来るお客さんがいるので」と言っても、まったく聞く耳を持たないという。

 「朝からこういうことがあると、一日、損した気分になりますね」と彼女。一方、Zさんだと「いますぐ会議室を開けますから待っていてくださいね」「早くいらしたお客さまには、隣の会議室で待っていただいてもいいですよ。午前中は使いませんから」と、A社の立場をよく考えてくれているという。Zさんのときは「その日は一日、得した気分」ということになるのだろう。

 セミナー会場を使用するのはA社ばかりでない。「Xさんは、会場を使用するほかの会社にも同じように接しているのだろうか」と彼女はそれとなく会場のベテラン女性に聞いたそうだ。「どの方に対してもXの接し方は同じ。お上手が言えないのね。おだてて、うまく使っていただくしかないわね」と言われたとかで、「客が何でおだてる必要があるのか」と、また憤慨していた。

 話を聞きながら、広報の縮図を見ているような気がした。セミナー会場を利用しているお客さんは、X、Zさんの応対の違いを承知していると思う。しかし、使用料や交通の利便性を考えるとそこを使わざるを得ない。ここは、ベテラン女性スタッフのアドバイスの通り、Xさんをおだてながら会場を使っていったほうが得なのかもしれない。時に我慢することも広報の使命だ。


(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
あなたの会社が、何らかのトラブルで記者会見を行わなければいけない...。突然の記者会見対応...。そのときになってから対策を講じていては、間に合いません。いざというときのために、事前に模擬記者会見を体験してはいかがでしょうか。
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