広報ショートコラム
 
第145回 『小平メモリアルパーク』(2009年2月16日更新)

 8日の日曜日、寒風吹きすさぶ中、東村山市の小平メモリアルパークに、昨年暮れに小学5年の男の子を残して亡くなった友人のお墓参りに行った。友人は享年38。西武新宿線「久米川」駅から歩いて約15分の霊園は小ぢんまりとしていた。しかし、赤いミニバラのアーチをくぐると、この日も、それぞれのお墓の両サイドに黄色、紫、薄紫色のパンジーやスイセンが美しく咲いていた。

 美しくて明るいお墓に眠っている友人とは、8年前の春、バカンスで訪れたバリ島の会員制ホテルMで出合った。そのAさんのご主人は開業医で休みがとれないとのことで、母子2人でバカンスを楽しんでいた。最初の夕食時、バイキングスタイルのレストランで、たまたま席が隣になったことから、話をかわすようになった。

 専業主婦のAさんは、息子さんとMホテルで過ごすことを唯一の楽しみにしていると言っていた。話しはじめると、両親の勧めで何となく結婚してしまったが、本当はキャリアウーマンとしてバリバリ働きたかった、などと面白おかしく話してくれた。話がはずんで、Mホテルでの5日間のうち4日間は、食事はいつも一緒。息子さんを部屋に残して2人でバーに行ったこともあった。

 帰国後もAさんとは、年に1、2回会うようになった。その時も、お子さんの世話をご主人にお願いしてきたようで、いま抱えている悩みや将来の夢などを時間が経つのも忘れて語り合った。私とは住む世界はまったく違うが、妙に気が合った。1つ心配だったのは、彼女の持病が心臓病だったことだ。現に、ここ数年は外出も控え気味となり、会話はもっぱら電話となった。

 その電話も回数が減り、どうしているのかなと思っていたところ、年末、実家のお母さまから「Aが心臓発作で亡くなりました。山本さんのお名前はよくうかがっていましたので、お知らせだけでもと思いまして−」という手紙が届いた。頭が真っ白になり、お母さまに連絡を取ることもできなかった。年が明けて気持ちの整理がつき、ようやくお母さまと電話で話ができた。

 大声でよく笑ったAさん。私より20年以上若いAさんの言葉1つひとつは、私にとって良い刺激になった。私を成長させてくれた。その言葉をもう聞くことができないと思うと何ともやりきれない。しかし、時々は美しく明るい霊園を訪ね、沢山の花に囲まれたAさんに語りかけたいと思っている。人の出会いって不思議なものだ。だからこそ、出会いを大切にしていきたいと思う。


(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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