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第144回 『春の息吹』(2009年2月9日更新)
毎朝、インターネットをチェックしているが、この時期には各地から花の便りが届く。兵庫県・加古川河川敷の菜の花、福井県の越前水仙、東京江戸川区・葛西臨海公園のスイセン、大阪城公園の寒紅梅(かんこうばい)、熱海市のアタミザクラ、小田原市・曽我梅林の白梅などだ。立春を過ぎたとはいえ、まだまだ寒さは続くが、花の便りは気持ちをなごませてくれる。
しかし、植物は確実に芽吹いている。私が「春が来た」と感じるのは1月末から2月上旬。部屋に置いてあるゴムの木、オリヅルラン、ポトス、ぺぺロミア、テーブルヤシなどの観葉植物に小さな新緑の葉が出始めるのが、そのころだからだ。外は寒風の中で、着実に春の準備をしていることを実感する。「がんばって」と植物に伝えたくなる。
この時期になると、寒さの中にも時折、やわらかい日差しが感じられるようになる。弊社のある天王洲アイルは、1月いっぱいまでは東京湾からの冷たい風がまともに吹きつける。最寄りのりんかい線「天王洲アイル」駅から弊社までは、ほんの4、5分だが、その距離が妙に長く感じられる。それが、いつしか、目線を上げて羽田空港を離着陸する飛行機を眺める余裕がでてくる。
女性のファッションもこの頃から、ダーク系からパステルカラーに変わる。気分的に明るい色のモノを着たくなってくる。先日、社内の女性が、ピンクのセーターを着て出社した時は、「春か近づいてきた」と思ったものだ。そういえば、3日、成田山新勝寺で行われた横綱・朝青龍と白鵬による豆まきも、両横綱は桃色の裃(かみしも)を着ていて、春の訪れを感じさせた。
ところでいま、JRや地下鉄の中で、ゲームや漫画、お化粧に一心不乱になっている若いサラリーマンや女性の姿が目にはいる。その良し悪しを述べるつもりはない。メーカー批判にもなりかねないからだ。しかし、周りの気配など一切気にせず、一点に集中した彼らの視線を見ていると、感性のない人間になってしまうのではないかと時々不安になる。
職場のOBがかつて、知り合いの女性を「情のない人だね」と言ったことがある。情とは−。それは美しいものを愛(め)で、お年寄りを思いやり、季節のうつろいに感動する、そんな感性が情につながっていくのだと思う。鏡ばかり見ているお嬢さんも、時には車窓の景色を眺め、ゆっくりとだが着実に訪れている春を感じてほしいものだ。美しい目はそんなところから生まれる。
(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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