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第143回 『広報マンの資質は、人間が好きなこと』(2009年2月9日更新)
知人に、A社で広報を13年担当、その後、B社で管理部門の仕事に携わり、昨年、「やはり広報の仕事がしたい」とC社に再々就職した男性がいる。年齢は38歳。久しぶりに新宿で待ち合わせて食事をした。お酒が進むにつれ、心境を語りはじめた。「いま、すっごく楽しいですよ。人に会うことが好きなんだなぁ、と改めて実感しました」という言葉が印象的だった。
B社で管理部門にいた時は、終日、パソコンに向かっていたという。広報を担当していた時、昼食は、記者や他社の広報仲間との絶好の情報交換の場だったが、それもなくなった。退社は夕方5時。「こんな時間に帰っていいの?」というぐらい早まった。でも、むなしい寂しさだけが残る。淡々と仕事を消化しているだけで、人との触れ合いがなかったからだ。
それがいい、という人もいる。しかし、知人は根っからの広報マン。かつては日々の生活で、旧知の仲間、仕事関係で新たに出会った人たちとのコミュニケーションを大切にしてきた。それが、ひと回りもふた回りも大きく成長させてくれた。だから、出会いのない職場は耐えられなかったという。いま、目がイキイキとし、フットワークも軽い。そんな姿にこちらも元気をもらう。
15年前、産経新聞の経済専門紙「フジサンケイビジネスアイ」で、広報責任者のインタビュー連載が始まり、私が担当させていただいた。最初の登場は住宅メーカーのベテラン広報部長さんだった。話が佳境に入り、私が「広報マンの資質って、ありますか」と聞いたところ、「人間が好きなこと」とすぐさま返ってきた。知人の話を聞いて、この言葉を思い出した。
そういう私も、この連載をはじめ、さまざまな取材を通じて、これまで1000人以上にのぼる方に会った。取材テーマは、その会社の最近の取り組み、広報活動の実態、危機管理体制などだが、話を聞いているうちに「ところで、Zさんは、いまの部署の前はどういうことを担当されていたのですか」と、ご本人自身に関心が移ってしまうことがたびたびあった。
要は、Zさんのような人が、その会社を支えてきたんだなぁ、と思うからだ。当然、Zさんの生きざまにも触れたくなる。「1つのプロジェクトをチームで成功させた時の喜びは何ものにも代えられない。チーム一人ひとりを大切にしていきたい」と語った女性広報部長がいた。この言葉を聞いた時も、心にズシリと響いた。人との触れ合いを大事にしながら成長していきたいと自戒している。
(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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