広報ショートコラム
 
第140回 『庄野真代さん』(2009年1月29日更新)

 先週、弊社が主宰する広報担当の方を対象とした勉強会「フジサンケイ広報フォーラム」月例会で、講師のお1人として歌手の庄野真代さんをお招きした。勉強会のメーンテーマは「フィランソロピー活動」。庄野さんには、NPO法人「国境なき楽団」(http://www.gakudan.or.jp)代表として、国内外で音楽を通じてのボランティア活動の具体的事例や成果、苦労話、これからの展開などをお話いただいた。

 フィランソロピーとは、金銭、物品、時間を慈善的な活動にささげることで、それを実践する庄野さんのような人をフィランソロピストという。庄野さんの大ヒット曲「飛んでイスタンブール」が世に登場したのは1980年。テレビから流れる伸びやかな歌声は新鮮だった。現在も現役として活躍中の彼女がなぜフィランソロピーに取り組むことになったのか。そこには、いくつものドラマがあった。

 庄野さんが世界一周の旅に出たのが、コンサートやテレビ出演などで大活躍していた1980年。「自分らしい動きをしてみたかった」と振り返る。タイで環境破壊に直面、アフリカでは水の大切さを知った。28カ国、132都市を回って帰国。その後、女子大生となり、ボランティア論を学ぶ。その頃からお母さまに脳腫瘍が見つかり、最後はホスピスで過ごされたという。

 その時、看護婦さんから「患者さんたちにコンサートを聞かせて上げたいのだけれど」と相談され、音楽の大切さを再認識。在学中、イギリス留学の機会を得て、自らチャリティ・ショップでキャッシャーなどボランティアとして活動した。「ボランティアは自分の能力の一部を奉仕すること」だと気付いたという。帰国して04年、再び大学で学び、在学中に「国境なき楽団」を設立した。

 こうしたさまざまな体験が「特別に何かをはじめたりする必要はない。自分が持っているものを提供すればいいんだ」という気持ちに変わっていたようだ。月例会のあとの懇親会では、某社広報部長が「そうなんですよね。自分が出来ることを教えてあげればいいんですよね。定年退職したら気軽に英会話を教えてあげようかな―ということなんですね」と早速に構想を練り始めていた。

 ここまでの話を聞いていると、庄野さん、とんとん拍子に来たようだが、けして平坦な道のりではなかった。スケートで顔面骨折を5カ所、子宮筋腫の手術も。お母さまとの別れや離婚も経験された。しかし、そんな様子は微塵も感じさせない。常に前向きな姿勢が、まわりにいる人たちに元気を与えてくれる。「地下鉄で帰りま〜す」と、さっそうと日本プレスセンタービルを後にした庄野さんの後姿は実にカッコよかった。


(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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