広報ショートコラム
 
第138回 『中央大学教授、刺殺事件』(2009年1月22日更新)

 先週14日、地下鉄丸ノ内線「後楽園」駅から程近い中央大学理工学部校舎内で同部、高窪統(たかくぼ・はじめ)教授が刺殺されるという痛ましい事件が起こった。学究の場である神聖な大学構内での出来事は、多くの人に衝撃を与えた。翌日の会見では、理工学部長が「将来の大学を背負う教授を失い残念」と述べ、正門で学生証のチェックを開始することを明らかにした。

 第一報で現場が中央大学と聞き、昨年7月、京王八王子駅ビルの書店で、アルバイト店員の女子大生が刃物で刺され、死亡した通り魔事件を思い出した。死亡した女性は、中央大学文学部4年生の斉木愛(さいき・まな)さんだった。犯人は間もなく、現場から数百メートル離れた場所で逮捕され、当日のTVニュースや翌日の朝刊で詳細が報道されたが、斉木さんに関する記事も多かった。

 高窪教授の事件は、おそらく顔見知りの犯行だろうし、斉木さんは無差別殺人に巻き込まれた事件だ。共通点は、被害者は教授と学生、つまり大学の人間ということだ。こういう時の大学側の対応は、なかなか難しい。実際、斉木さんが殺害された際、大学側は「犯人に関する報道がメーンで、大学に取材があるかどうか」というぐらいの捉え方だったという。

 しかし、マスコミが被害者の女子大生に関する取材をほっておくはずはない。それは、読者の立場に立っているからだ。この事件を知った大半の人は「お気の毒に、事件に巻き込まれて亡くなったアルバイト店員って、どういう方なのかしら」と思うのではないだろうか。案の定。事件発生から2〜3時間後、記者が殺到し、真夜中の記者会見になったという。

 高窪教授についても、亡くなられたことは大変お気の毒だが、世間は「どのようなことを学生に教えていたのだろうか」「どんなお人柄だったのかしら」と思うのが人情だ。それに答えるのがマスコミだ。そのためにも大学側は、警察やご遺族との連絡と同時に、新聞、テレビなどマスコミにもきちんとした情報発信をしなければならないことを常に頭に置いといていただけたらと思う。

 それが、同じ大学の仲間、その父兄、大学を目指している全国の高校生、世間一般からの疑問や不安に答え、改めて大学のきちんとした姿勢を示すことにつながる。それには、マスコミを活用することだ。現時点で高窪教授を刺殺した犯人は逮捕されていないが、亡くなられた高窪教授、ご家族、学生、大学のためにも一刻も早い事件の解決を望みたい。


(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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