広報ショートコラム
 
第129回 『ソーリーandエクスキューズミー』(2008年12月17日更新)

 年の瀬も迫ってくると、忙しさで人間はだんだんといらだってくる。そういう時期に限って、朝夕の通勤時間帯に電車がたびたび遅れる。信号故障や人身事故などで、最寄り駅や乗換駅への電車の到着が10〜15分遅れになるのはざらで、時には1時間も遅れることがある。出社時間の遅れなどは半分あきらめの気持になるが、問題は人ごみの中での乗客の行儀の悪さだ。

 東京の私鉄の場合は、終点の都心のターミナルでは降車ホームと乗車ホームが分けられているので混乱は少ない。だが、山手線などでは、満員状態の電車から大勢の乗客が降り、入れ替わりに大勢の人が乗り込む。すると、肩と肩が触れたり、後ろから押されて結果として前の人を押したりすることになる。その時、にらみつける人もいれば、「なにやってんだよ」なんて声も聞こえる。

 だれもが故意でそうしているとは思っていないのだが、気持ちに余裕がなくなると態度に出てくるものだ。一人が不機嫌になると、面白いもので、連鎖反応でみんながギスギスしてくる。般若のような顔をして周りをにらむ若い女性もいる。「みんな、好き好んでこの電車を選んだわけではないのだから、朝ぐらい、さわやかな顔を見せてね」と言いたくなるほどだ。

 私が朝のJR五反田駅で見かけた外人はスマートだった。車両の中央に乗っていた30代とおぼしき外人サラリーマンだったが、混雑でなかなか降りられなかった。しかし、彼はすかさず、「エクスキューズミー」と、大きめの声をかけた。このひと言で、回りが身体を少しだけ傾けて、ちょっとしたスペースをつくり、彼は悠々と降りていった。それでいいのだ。

 外人は通りで行き交う人と肩が触れたとき、「アイムソーリー」「エクスキューズミー」と反射的に声をかける。言われたほうも「ユーアーウェルカム(どういたしまして)」と笑顔で返す。この精神、ひと言が大事なのだ。それで、回りの雰囲気は明るくなり、なによりも本人が穏やかな気持ちになる。朝、仕事の前から些細なことでぎすぎすしたくないものだ。

 満員電車だけのことではない。携帯電話などで喧嘩腰に話しをしている光景を目にすることがある。事情はよく分からないが、「もう少し、穏やかに話したら」と言いたくなる。だれもがケンカをしようとは思ってないはずである。怒りの言葉が出そうになったら、一瞬、間を置く。結構、冷静になれるものである。あわただしい年末、お試しいただけたらと思う。


(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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