広報ショートコラム
 
第128回 『町の文房具屋さん』(2008年12月15日更新)

 皆さん、年賀状はもう書かれましたか? もちろん「数年前から年賀状は書かないことにしている」という方や、「住所も挨拶文もパソコンで印刷。あとは送るだけ」「元旦に、携帯メールでごく親しい人だけに挨拶する」という方もいらっしゃると思う。私は相変わらず、新年の挨拶は印刷、添え書きや宛名と住所は手書き。当面、このスタイルは変わらないかなと思っている。

 ここ数年で変わったのは、年賀ハガキの印刷の依頼先。かつては仕事でも付き合いのあった大手印刷会社にお願いしていた。いつも年末ぎりぎりに「大至急!」という私の身勝手なお願いをよく聞いてくれた。しかし、ハガキのバックの絵は見本Aを、書体は見本Bを、行間のピッチはもう少し広げて、というような細かい要望は、大手だけになかなか聞き入れてもらえない。当然である。

 そこで、近ごろは会社から歩いて約20分のところにある町の文房具屋さんに、年賀ハガキの購入も含め印刷を頼んでいる。10月末になると、F店から自宅に年賀状の見本が送られてくる。「今年はこんなデザインのものもあるんだ」と思いながらも、まだ頼むまでにはいかない。例年のことだ。しかし、来年は年女。抱負をきちんと考えて、発送も早めにしようと決意した。

 それから1カ月。結局、12月に入り、あわただしく挨拶文を考え、印刷のお願いに出かける。これも1つの楽しみとなっている。毎年、F店の社長から「山本さんのは大変なんですよ。うちにとっては特別製なんです」と言われる。それというのも、見本から好みの絵柄を選び、挨拶文は自分でつくったもの、自宅や会社のバランスは、こう−と注文が多いからだ。

 「そこを何とか」とお願いできるのも、日ごろのフェース・ツー・フェースのコミュニケーションがあるからだと思っている。数日後「がんばって、ご希望通りサイズ内に収めましたからね」と、電話連絡とともにFAXでゲラか送られてきた。社長が言うように、私の希望通りだ。満足して、それを受け取りに出かける。現物を見る前の、最もワクワクしてくる時だ。

 F店に到着してまず、社長に御礼を言う。「大変だったんだから」とニコニコ 顔の社長。奥様がすかさず、お茶を出してくれる。「来年もまた悩まされるんだろうなぁ」と、社長は1年も先の話をする。年1回の数日間のこうしたやりとりが恒例となった。大手企業ではない、町の文房具屋さんとだからこそ生まれてくる素朴な会話が、年末のあわただしさの中で、ほっとさせてくれる。


(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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