広報ショートコラム
 
第125回 『居酒屋の居心地』(2008年12月3日更新)

 忘年会シーズン、居酒屋へ繰り出す機会がグンと増える。なじみの店もあれば、帰り道に「ここに、寄ってみようか」と初めて入る店もある。愛想のいいマスターのいる焼き鳥屋さん、店内は雑然としているが絶妙な味のつまみ類がそろっている小料理屋、電車や行き交う人々で騒々しくても妙に落ち着くガード下の一杯飲み屋など、お店にはそれぞれに特徴がある。

 利用客から言わせてもらえれば「また、このお店に来よう」「今度、知り合いを連れて来たい」と思わせる点が評価基準になる。逆に言えば、コミュニケーションと称し、たびたび呑み会の機会をつくりたがるサラリーマンにしても、あるいは休日に親子連れでレストランへ繰り出す場合でも、味もさることながら居心地の悪い店は二度と行きたくない。

 11月末の土曜日、大学の同期のメンバー6人が新宿で集まった。行った先は某百貨店の12階、和食のお店だった。夕方5時半ということもあり、お客さんはまばら。ビールで乾杯した後は、それぞれ好きなおつまみと飲み物を注文した。美味しいお酒で、大学時代の想い出が一層盛り上がる。盃を重ねるうち、2人が同じ銘柄の冷酒を追加注文した。まだ、2本目だった。

 ところが、配膳係の若い女性は平然と「このお酒はもうありません」。「無いの! まだ6時半だよ」と戸惑い、憤然とする仲間に、彼女は「こちらが今日のお薦めです」と説明しはじめた。店長から指示されていたのか、お薦めは200ml足らずの小さいボトルで1本1500円の冷酒だった。「そんな高い酒は飲めないよ。それじゃあ、これでいいよ」と仲間はリーズナブルな銘柄を注文した。

 「冗談じゃないよ」−全員から出た言葉だった。私たちは早々にそのお店を引き上げ、さほど離れていない居酒屋で飲み直すことにした。ちょうど6人席が空いていた。座ろうとしたとたん「皆さん、コートなどお荷物が沢山あるでしょう。どうぞ、こちらの席を使ってください。今日は土曜日なので団体さんは来ませんから」と、女将さんが10人席を薦めてくれた。

 イヤな思いをして移動してきただけに、何とほっとしたことか。やはり、商売はこうでなくちゃ!その時に、イベントなどでお客さまにいらしていただく場合には、お客さまに不愉快な思いをさせてはいけないということを改めて学んだ気がした。「新年会をやるときは、ここを集合場所にしようね」という話が早速まとまり、気分の良い酒に解散は深夜になってしまった。


(広報フォーラム事務局・山本ヒロ子)
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