広報ショートコラム
 

第332回 竜巻、サイクロン、心のゆとり(2012年05月14日更新)

 GW最終日の6日午後1時前、茨城県つくば市や栃木県真岡市などで竜巻や突風が発生、家屋の損害が相次ぎ、つくば市では自宅にいた男子中学3年生が死亡した。私は自宅のパソコンで調べものをしていたので、竜巻が発生したことはすぐにチェックできた。ベランダ越しに見た東京の空も暗かった。世田谷区では「外ですごい音がすると思ったら、3センチ大の雹(ひょう)が降っていた」と友人から翌日聞いた。

 被害の激しさは、テレビや翌日の新聞報道で鮮明に理解できた。雇用促進住宅の窓ガラスは粉々になり、トタン板が部屋の中まで吹き飛んできていた。私がその場に居たらどう対応しただろうか、そう思うと身震いがした。各メディアでは、竜巻が発生する前兆として「真っ黒い雲が近づき、周囲が急に暗くなる」「雷が発生する」「冷たい風が吹き出す」「大粒の雨や雹が降り出す」と教示している。

 この話を聞いて、20年ほど前、冬休みを利用して訪れたインド洋にあるモーリシャスでの出来事を思い出した。モーリシャスは、主にヨーロッパの旅行者に人気のあるリゾート地で、「インド洋の貴婦人」として親しまれている。東京都とほぼ同じ大きさで、約120万の人々が住んでいる。一年中のどかで過ごしやすい島だが、1月はサイクロン(台風)が多い。滞在中、そのサイクロンに直面してしまったのだ。

 あの日は朝から、ホテルのロビーにあるテレビで、サイクロンがモーリシャスに近づいていることを報道していた。しかし、島に上陸するとしても夕方になるらしい。そこで、午前中に、ホテルからバスで約30分、首都のポートルイスで買い物を済ませてしまおうと、出かける準備をして、ホテル近くのバス乗り場に行こうとしていた。その時、ただ一人の日本人スタッフから「どこに出かけるの」と声をかけられた。

 「ポートルイスにお買い物に行ってきます」と言ったとたん、「何を言っているの。あと2時間ぐらいで大雨になるわよ。そうしたらバスもタクシーも動かなくなるの。いまは快晴だけど、雲の動きをみているとそれがよく分かるのよ」と叱られた。事実、そうなった。まさに、バケツをひっくり返したような雨で、ホテルのロビーは水浸しとなった。数年、島に住んでいると、風の向き、湿気でよく分かるという。

 東京の都心に住んでいても、自然の微妙な変化は分かるのではないだろうか。ただ、私たちはあまりにもせわしない日々を送っている。電車に乗れば皆、同じ姿勢でスマートホンに向かっている。それが、よくないということではない。時に車中から雲の動きを眺めたり、自転車で風のにおいを感じたり、そんな心のゆとりがほしい。そうすれば、天候の見通しぐらいはできるかもしれない。実行してみよう!

(フジサンケイ広報フォーラム事務局・山本 ヒロ子)
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