三菱レイヨンから暑さ寒さを自動調整してくれる繊維「ベントクール」が商品化されました。
今年は猛暑。一歩、外に出るとうだるような暑さで、汗が吹き出てきます。私たちは汗を引かせるために、服のボタンを外し、空気を入れ込むために服をパタパタさせたり、扇子で扇ぎます。会社に着くと、エアコンが効いてすっかり汗も引きますから、外したボタンを閉め出します。こんな風にして、私たちは無意識のうちに服の内 側と外側の通気をコントロールして温度調整しています。
この通気のコントロールを自動でしてしまう繊維が「ベントクール」なのです。「ベントクール」は2種類のアセテートを複合紡糸することで、湿度に感応して繊維が伸び縮みする特性が、この自動開閉装置の原理です。

アセテートは天然パルプを原料とした半合成繊維です。原料が同じレーヨンと間違えやすい繊維ですが、レーヨンは再生繊維で、湿潤強度が極端に弱いという欠点があります。アセテートの最大の特徴は、レーヨンと同様、発色性のよさ、ソフトな風合い、絹のような上品な光沢、ドレープの美しさですが、特に、優れているところは、多くの繊維と馴染みやすく、交撚、交織、交編と多彩に展開でき、ファッション性に優れた繊維だということで、ファッション衣料への応用が広い繊維と言えます。アセテートには、ジアセテートとトリアセテートの2種類があり、この2つのアセテートを紡糸したのが「ベントクール」です。ジアセテートの一部をセルロース修飾させて吸水性を高めた改質ジアセテートに、全く水を吸わないトリアセテートを複合することで、糸にバネのような"ねじれ"ができ、この"ねじれ"が伸び縮みして動くのです。つまり「ベントクール」は、暑くて汗をかくと、その水分を感じて糸が伸び、メッシュのように網目が開きます。網目が開くと通気性が良くなりますから清涼感を与えてくれて汗が引きます。汗が引いて肌が乾いてきたら、網目は閉じて、保温性を保つという仕組みになるわけです。
この春から、スポーツ衣料の分野で、ミズノから「ダイナミックエアリー」として商品化されました。ファッション衣料としては、来春からインナーとして、商品化される予定になっていて、アウターにも広げたいと、関係者は期待を膨らましているとのこと。 まだまだ、私たちが実際に商品を手に触れたり着たり出来る衣料としては、数年待たなければいけませんが、こんな自動開閉の「動く繊維」を試してみたいと思いませんか?