ウールは寒い冬の衣料の代表選手です。でもこのウール、実は夏の衣料としても最適なこと、ご存知でしたか?

ウールは暖かくて
涼しいという相反する機能を持っています。暖かい!という機能は、誰でも実感している機能ですが、この暖かくて涼しい!という相反する機能は、ウールの構造に起因するものです。ウールの表皮の下は、コルテックスと呼ばれる皮質部分から出来ていて、これがウールの約85%を占める中心組織です。このコルテックスは成長の過程で、発育が十分な部分と不十分な部分とが隣り合わせに張り付いたバイラテラル配列の構造をしています。そのため繊維に引きつれが生じて、羊毛の特徴であるクネクネした波状の捲縮(クリンプ)が生まれました。このクリンプが暖かくて涼しい性質を与えてくれています。
ウールには、この複雑に絡み合ったクリンプがあるために、体積の60%もの空気を抱えることができ、外気の寒さや暑さを跳ね返す断熱機能を持つことになりました。またウールは、綿よりも優れた吸湿性があり、この優れた吸湿性のおかげで、皮膚とウエアー間の湿気を抑え、空気の断熱効果を維持することができます。激しい運動で汗をかいても効率的に繊維内部に水分を吸収し、外部にすみやかに発散させ、繊維表面はクリンプ構造で汗を弾き、繊維表面と皮膚表面は常にドライ状態を保ち、涼しいと感じる通気性を保持することができるわけです。
ポリエステルや綿のスポーツウエアーと比較すると、ウエアーがビショビショに濡れることがなく、べとつき感を解消でき、通気性が優れていることから運動後の汗冷えによるヒートロスや心拍数の増大を抑える効果があるということです。
ですから、ウールはスポーツ用として「スポーツウール」が注目されていますが、外が暑く、室内では冷房で冷えすぎているオフィス環境でも、夏場の衣類材料としては最適な素材だと思います。
夏用紳士服はサマーウールが当たり前ですが、女性の皆さんも、ノースリーブのカシミアニット(Vol.36)だけでなく、夏用のジャケットなど薄手のサマーウール素材のものを一度、試されてみてもいいかもしれませんね。