(82)関心、注意払われる情報発信を

アサヒグループホールディングス・広報部門ゼネラルマネージャー 田中隆之氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 カーリットホールディングス・広報部長 澤幸之氏
新聞発行日 2018年11月22日(木)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
澤幸之(さわ・こうし)
 1994年慶大商卒、明治乳業(現明治)国際部、芸能プロダクションを経て2013年日本カーリツト(現カーリットホールディングス)入社。14年広報部。18年から現職。


─創業100周年を迎えました
 京浜工業地帯の生みの親として知られる創業者の浅野総一郎が、スウェーデンの産業用爆薬「カーリット爆薬」の製造・販売特許を取得し、日本カーリット(現カーリットホールディングス)を設立したのが始まりです。以来、発炎筒やロケット推進薬原料などで、日本の産業を支えてきました。現在は、化薬・化学品・電子材料などの製造販売、電池の受託評価試験を行う「化学品事業」▷ペットボトル飲料や缶飲料の製造販売を行う「ボトリング事業」▷半導体用シリコンウェーハなどの製造販売を行う「産業用部材事業」-の3つを柱にしています。


─発炎筒は国内シェア80%以上を誇っています
 数少ない末端商品として、発炎筒を製造販売しています。高速道路などでの事故や故障の際、発炎筒で後続車に注意喚起を促すなど、交通安全面で一役買っており、テレビ番組「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ」でも紹介されました。2015年には日本記念日協会によって、「はつ(8)えんとう(10)」の語呂合わせで、8月10日が「発炎筒の日」と登録されました。毎年この日を活用し、テレビや新聞を通じて、自動車に搭載されている発炎筒の有効期限チェックや、正しい使用法の確認などを呼びかけています。


─ピックを備えた「スーパーハイフレヤープラスピック」が注目を集めました
 発炎筒にピックを備えた商品で、集中豪雨や台風などで車が浸水した場合、女性の力でも簡単にサイドガラスを割り、脱出することができます。ドアは膝の高さくらいの浸水でも開かなくなるため、06年の発売以来、ユーザーから高い評価をいただき、災害が多かった今年は特に注目を集めました。


─旧保土ヶ谷工場跡地への植樹が話題になりました
 創業100周年記念の一環として、横浜市保土ヶ谷区にある工場跡地の「たちばなの丘公園」にシダレサクラとヨコハマヒザクラを寄贈しました。同工場は1919年に建設、95年まで産業用爆薬や発炎筒を製造していました。跡地の一部は有料老人ホームが利用し、大部分は横浜市が掲げる「横浜みどりアップ計画」に協力し、緑地として保存されています。


─広報体制は
 広報部のメンバーは3人で、PR、IR、CSR、インナーコミュニケーションを担当しています。ここ数年、増収増益で推移しており、その実態を影響力のあるアナリストにレポートに取り上げていただいたことから、株主の関心が一段と高まっています。今年度も半期で約50人のアナリストと面談しました。グループ報「かありっと」(季刊)は、カーリットグループ社員の情報 共有を目的に、廣橋賢一社長やグループ各社のトップの考え、各職場の取組み、社員の人となりを積極的に発信しています。


─広報の課題は
 何よりも、メディアに注目してもらうことです。宣伝の世界では、「AIDMA(アイドマ)の法則」という言葉がよく使われますが、広報も同じです。AはAttention(注意)、IはInterest(関心)、DはDesire(欲求)、MはMemory(記憶)。AはAction(行動)。特に注意、関心を持ってもらうことは、大変重要です。さらなる100年に向け、宇宙、環境・エネルギー、ライフサイエンス、新材料といった幅広い研究開発への取り組みを理解してもらえるよう、広報展開を強化していきます。



(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子 2019.1.10 更新)