(66)「良好な雰囲気作り」システム化

日本触媒 経営企画室IR・広報部長 來栖暁氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 日本触媒 経営企画室IR・広報部長 來栖暁氏
新聞発行日 2018年3月29日(木)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
來栖暁(くるす・あきら)
 1991年京大工学部大学院博士課程修了。日本触媒入社。中央研究所配属、2002年本社新規事業企画室。04年総務部広報グループを兼務。06年総務部広報グループ。09年IR・広報室。14年IR・広報室長。15年から現職。工学博士。


─世界の「紙おむつ」の4分の1に日本触媒の製品が使われています
 当社はアクリル酸や酸化エチレンなどの基礎化学品、それらを原料とした高度な機能性化学品などを開発し、製造・販売する会社として1941年に創業しました。その一つ、高吸水性樹脂(SAP)、別名・吸水性ポリマーという機能性化学品はアクリル酸を基礎原料として、独自の技術により進化させたもので、吸水性、保水性に優れ、1グラムの樹脂で最大1000グラムほどの水を吸い取ることができます。赤ちゃんを不快にさせないよう、また、おむつ全体が薄く小さくなるよう、樹脂に工夫を施し、今や世界のトップシェアを誇っています。


─衣料用洗剤のコンパクト化にも一役買っています
 かつての洗剤は、今の洗剤の3、4倍のサイズでしたが、最近はコンパクトな濃縮タイプの液体洗剤がたくさん出ています。当社独自の技術で生産している酸化エチレンから界面活性剤(商品名「ソフタノール」)をつくり出し、性能の改善に役立っています。この製品は各社からひっぱりだこです。


─研究開発に力を入れてきました
 従業員約2000人のうち4分の1が研究者です。新しいものにチャレンジを続けて、社会に役立つ技術を創造するため、研究開発を大切にしてきました。研究員が自分で作ったおむつを履いて、自ら使用感を確かめることもあります。徹底的に最終ユーザーと向き合い、独自の研究開発を行っています。こうして生まれた技術は、国内外で高い評価をいただいています。このような実態を一般の方にも分かりやすく発信していくことが広報の使命です。


─IR・広報体制は
 メンバーは6人です。機関投資家、個人投資家向けIR活動をはじめ、取材・報道対応、新聞雑誌・交通広告展開、著作物・ロゴ管理などを担当しています。経営のフィードバックも重要な役割です。最近注力していることは、会社案内やホームページの構成をお客さま向けに変えようとしていることです。これまでは製品名だけで、「どういうところに役立つのか」については触れていませんでした。営業部員がお客さまを訪問した際、「こんな機能が提供できます」と話し合いができるような内容にしていきたいと思っています。


─2代目社長の八谷泰造氏が実名で登場する高杉良氏の経済小説「炎の経営者」がドラマ化されました
 「炎の経営者」は1986年に出版され、現在、第13刷まで出されています。フジテレビで昨年と今年の2回ドラマ化されました。戦中、大阪で興した小さな町工場が世界に通じる国産技術を生み出すまでの物語で、視聴者、読者には、日本触媒という会社とともに、化学に対する理解を深めていただいたものと思っています。


─今後の課題は
 2025年の“ありたい姿”として「人の暮らしに新たな価値を提供する革進的な化学会社」を掲げています。当社の価値は内側から固めていく必要があり、そのためには社会の要請をよく認識し、会社が良い方向へ進んでいかなければなりません。その役割を担う部署の一つがIR・広報部であり、今後一層、グループ内のコミュニケーション作りのシステム化を目指していきたいと思います。


(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子 2018.4.13更新)