(32)フリード発表中継は31万人が視聴、
情報発信は10年前と様変わり

ホンダ 広報部長・田中薫氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 ホンダ 広報部長・田中薫氏
新聞発行日 2016年11月10日(木)

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
田中薫氏(たなか・かおる)
1983年学習院大法卒、ホンダ入社。大阪支店、ホンダベルギーN.V.、広報部、アメリカンホンダモーター、広報部商品ブロック、北米地域本部、ホンダノルディックA.B.、汎用事業本部を経て2014年から現職。


─二輪をはじめ、今や世界にホンダ製品が浸透しています
 ホンダは二輪車からスタートした会社ですが、現在は自動車、船外機、芝刈り機、小型ビジネスジェット「ホンダジェット」、ロボット「アシモ」、歩行アシスト装置などを扱う総合モビリティメーカーとして約140カ国で事業展開しています。2015年度の世界販売台数は二輪車が約1700万台、四輪車が約500万台、汎用(はんよう)商品が約600万台です。


─世界展開にあたっての哲学は
 1948年の創業以来、「人のため世のために役立つ製品を提供する」という哲学を貫いてきました。汎用事業のスタートにあたり、「機械化して、農業・漁業にたずさわる人々の労働を軽減する」と言って、耕運機の試作機を試す創業者、故本田宗一郎の姿、言葉は今も語り継がれています。今日のホンダがあるのもこの原点があるからで、多くの方にホンダイズムをご理解いただきたいと思っています。


─世界を6地域に分けた「グローバル6極体制の進化」をうたっています
 昨年6月の八郷隆弘社長の就任会見で発表したものですが、具体的には日本、北米、南米、欧州、アジア・大洋州、中国の6つの地域本社に分けて、それぞれの地域で現地生産、開発などを推進するものです。具体的には、グローバル本社のオペレーション機能の向上と地域の相互補完の推進、さらにはフレキシブルな生産体制の活用による、最適な生産配分に取り組んでいます。


─広報体制は
 日本に約50人、米国に約80人をはじめ各地域本社にも広報スタッフがいます。東京本社と各拠点の広報部門とは毎月1回テレビ会議を開催し情報共有を図るとともに、約18万人の海外従業員に対してはウェブ社内報を通じてグローバルでの一体感醸成に努めています。社外向けにはインターネットサイトを通じて情報発信しています。


─国内では
 約4万4000人の従業員に対し、「Hondaフィロソフィー」や企業文化の伝承を目的とした紙の社内報(年4回制作)やウェブ社内報、さらには動画配信を通じて情報共有を図っています。対外的にはSNSやメディア向け情報、素材提供サイトで最新情報を発信しています。ニュースリリースは年間約250件。新車発表は大きなもので年平均2回。
 こうしたオウンドメディアを通じた発信は直近の新型フリードのLINE LIVEでの中継で31万人もの方にみていただいたほどです。情報発信の方法も10年前とは様変わりです。


─緊急時の対応については
 2014年に量販車の複数にわたるリコールが発生しました。このとき心掛けたことは「Hondaブランドの毀損(きそん)を最小限にとどめる」ということです。大切なことは、事実に基づく正確な報道をしてもらうこと、感情的、攻撃的な報道は避けるようにしなければならないということです。最近は、販売店のサービス、不誠実な対応について、SNS上で炎上するケースが増えています。基本スタンスとして、迅速、正確、公平な対応、そして、グローバルで一貫した発信をする「One Voice」を念頭に置き対応することがポイントだと思っています。


(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子 2017.3.10掲載)