研究員オダの環境レポート
Vol.11 つけ洗い、放置に注意
<2014.06.23 更新>

 厚生労働省のデータでは5〜6月から細菌性食中毒の発生件数が増加し始めます。食中毒の予防として重要なのは食器の洗い方です。皆さんは使用後の食器をどのように洗っているでしょうか。乾いて汚れがこびりついた食器を夜に水につけて翌日の朝洗っている方もいらっしゃるかと思います。実はこの長時間のつけ置き洗いは、非常に危険な行為なのです。

■ 長時間のつけ置きでなにが起こっているのか
 栄養、20〜30℃前後の温度、水分がそろうと、細菌は爆発的に増殖します。栄養となる食器の汚れ、洗い桶の水、室温と、つけ置きは細菌の増殖に適した全ての条件を提供しています。私たちの調査では、日ごろつけ置きをしている洗い桶の水にはすでに約400万個の細菌が含まれており、そして、8時間後には1800万個までに増殖していました(下図)。つまり、翌日の洗い桶の中は細菌のプールになっているのです。

洗い桶の水1ml中の細菌数

■ 細菌は洗い流せるのでは?
 「つけ置きの後にすすいでしまえば細菌は流れる」と考えている方もいらっしゃるかと思います。確かにしっかりとこすり洗いができ、きちんと流水ですすげる部分は細菌数が減ります。しかし、溝や角のように洗いにくい箇所には細菌が残ってしまいます。さらに、洗い桶の水をシンクに流すと、増殖した大量の細菌が飛び散り台所周辺や他の食器に付着してしまう危険性もあります。また、指先の傷口から感染症を引き起こしてしまう可能性も否定できません。そのため、皆さんが考えている以上に、長時間のつけ置きは危険な行為なのです。

■ 洗剤の除菌能力も適正濃度が必要
 市販されている食器洗い洗剤には除菌性能をうたっているものがあります。この除菌性能は洗剤を直接スポンジやまな板に十分量なじませることが条件です。一方で、つけ置きの場合は大量の水に洗剤を溶かしているため、除菌効果よりも細菌の増殖が上回ってしまいます。また、細菌が増殖する危険性から、洗剤メーカーもつけ置き洗いを推奨していません。

 清潔な台所環境のために、食事の後はすぐに片付けをして長時間のつけ置きをやめましょう。しかし、つけ置き洗いは乾いたご飯粒のような汚れを簡単に落とせるため、やめることに抵抗がある方も多いと思います。細菌が増殖を始めるのには1時間程度必要です。そこで、細菌が繁殖する前に食器を洗うことをお勧めします。また、台所で使用している桶は裏側にカビが生えやすいため、消毒用エタノールや塩素系漂白剤などによる桶自体の殺菌も定期的に行うといいでしょう。

 
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このコラムについて エフシージー総合研究所・IPM研究室の活動内容や、研究中の内容をスタッフ目線でレポートした記事です。一般のかた向けに分かりやすく解説しています。
IPM研究室とは エフシージー総合研究所・暮らしの科学部所属。室内環境の有害物質を調査・研究しています。特に「室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究」を主仕事としています。
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