研究員オダの環境レポート
Vol.8 なぜ虫を嫌いになっていくのか
<2014.06.02 更新>

 皆さんは虫が好きでしょうか?私は昆虫が好きで、幼少期はよく昆虫採集や飼育をしました。そして今では、当研究室で室内環境中のカビやダニとともに昆虫の調査・研究もしています。皆さんの中には、幼少期は虫に対する抵抗感が無く掴む事ができたけれど、現在は視界に入ることさえ不快に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?成長とともに虫が嫌いになる原因は諸説あるといわれていますが、今回は虫嫌い(昆虫やクモなど)の原因を、私なりに考えてみました。

■ 虫嫌いは異常?
 まず始めに、私は虫を嫌悪する感覚は正常なのではないかと考えています。
 「素早く動く」「手足が沢山ある」などのように、人間は自分と異なる形や機能をもつ生物に嫌悪感が生じます。これは、自分と異なる生物は外敵であり、「なにをするのかわからない・危険かもしれない」といった、ある種の防衛反応です。こうしてみると、私のような虫を好意的に捉える感覚の方が異常とも考えられます。
 では、なぜ幼少期は抵抗無く虫を触ることができるのでしょうか?これは、幼少期では大人と比べて知識や経験が少なく、虫に対して防衛反応を取るべきかどうかの判断基準が曖昧なためです。そして、虫に対して「抵抗感よりも興味が勝る」ため、嫌悪感なく触れることができるのです。

■ 成長とともに印象が決定する
 しかし、大人になるにつれて虫に対するさまざまな知識や経験が増え、イメージが形成されてゆきます。そして、虫に接する機会が少なくなると、一部の虫が持つ「汚い」「怖い」「噛まれる」「ハチや毛虫に刺される」などのマイナスイメージが、虫全体へ定着してしまうのでしょう。いつの間にか「興味よりも抵抗感・嫌悪感が勝る」ようになり、幼少期はなんでもなかった虫に対する苦手意識が定着していきます。
 一方、私のように虫が好きな方は、マイナスイメージの形成前に、虫に対して「綺麗」や「格好いい」などの良い印象を持つことができ、虫に接する機会も多かったため、大人になっても虫に対して好印象を持てているのでしょう。

 今回の例以外にも、当然、虫から危害を受けてトラウマになっている方もいらっしゃるかと思います。このように、虫を苦手に感じてしまうことは仕方が無いことなのでしょう。しかし、虫の存在を遠ざけるあまり、人の生活と関係の無い多くの昆虫や、クモのような益虫が不快害虫として扱われ、殺虫の対象となってしまっている現状は、虫好きとしては少々残念に思います。また、「地球は昆虫の惑星」と呼ばれるように、昆虫は地球環境にとって無くてはならない存在です。「虫」と一口に忌み嫌わずに、こちらから歩み寄ることも必要かもしれませんね。


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:毎日新聞のコラム記事「憂楽帳」に取材協力しました。

 
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