(120) 面ファスナー

  面ファスナー、用途で選ぶ

 ワンタッチで止められ、引っ張ると簡単に外せ、繰り返し使える面ファスナーは、手芸やホームソーイングなど身近で便利なグッズです。手芸品売場で販売されていた面ファスナーの接着力の違いを調べてみました。


面ファスナー使用の各種アイテム

 テスト品は、一般的なオス・メスのタイプ(A、B、C)、オスがマッシュルーム形状の(D)、オスとメスの区別がない(E、F)の6種類です。

 テストは、一定負荷をかけて貼り合わせた面ファスナーを滑り方向に引張り、外れたときの最大荷重を測定し、引張せん断強さを算出しました。この数値が大きいほど、滑り方向に引っ張っても外れにくいという評価になります。その結果、Dがかなり外れにくい商品でした。オスがマッシュルーム形状のため、ループ状のメスに引っ掛かるためだと思われます。さらにメスの密度が高いことも影響しているようです。A、Eは、B、C、Fのオスに比べて太く、オス・メスの密度も濃いので、引っ掛かりが多くなり、B、C、Fより外れにくい結果になったようです。

 次に剥がし方向に剥がす時の剥離強さを測定したところ、D>A>E>B、F>Cの順で強い接着力があり、滑り方向とほぼ同じでした。ただ、剥がし方向に強いということは、簡単には外しにくいということで、力の弱い子供やお年寄りの使用には向きません。
 面ファスナーの繰り返し使用などを想定し、頻繁な洗濯など糸くず等のゴミが付着した場合に、剥離強さがどうなるか確認しました。オス・メス表面に一定の負荷を加えてタオルを一定回数擦りつけたものの剥離強さを測定しました。その結果、オスに繊維ゴミが隙間なくたくさん付いたDに目立った低下が見られました。他と異なるマッシュルーム形状のオスが、繊維ゴミの影響でメスに引っ掛かりにくくなったためだと思われます。D以上に繊維ゴミが付いたCでは、剥離強さに目立った低下は見られませんでした。またE、Fはオス・メスが混在しているため、肌触りもよく、繊維ゴミの付着は他に比べてかなり少ない傾向でした。ゴミ付着時の剥離強さはゴミの付着具合とオス形状の違いで変わってくるようです。


接着強さ

 強い接着力が必要で、取り外しの頻度が低い用途にはD、頻繁に取り外す場合だとA、B、Cがおすすめです。E、Fは、他の生地素材を傷めにくく、糸くずやゴミが付きにくいので、衣服用途に選ぶとよいでしょう。

(2016.05.20)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』
生活科学研究室